新機能としては「料理モード」に注目です。これを選択すると、通常のモードよりも暗部が明るく、発色がいっそう鮮やかになり、料理や食材の見栄えを高めることができます。
連写は、前モデルから高速化し、AF固定で10コマ/秒、AF追従で7.4コマ/秒に対応。動きの速い被写体も、連写でしっかりと撮影できます。
動画は、最大で4K画質(3,840×2,160ドット/30p)の記録に対応。連続撮影可能時間は約30分ですが、カメラ内での簡易編集や静止画の切り出しもできます。
注意したいのは、P/Tv/Av/Mなどの撮影モードを選択している場合、動画ボタンを押して撮影できるのは最大でフルHDまでになることです。4K撮影をするには、モードダイヤルを動画の位置にセットする必要があります。また、4K撮影では画面の周辺部がクロップされ、画角が一回り狭くなるのも留意点といえます。
クリアな発色と低ノイズの高感度画質
撮像素子は、前モデルと同じく1/2.3型の裏面照射型CMOSセンサーで、画素数は約2,030万画素。映像エンジンは「DIGIC 8」を新たに搭載しています。感度は、最高ISO3200に対応。最高感度ではそれなりにノイジーになりますが、ISO800や1600は実用レベルといえます。
画質は、彩度とコントラストがほどよく強調された見栄え重視の傾向です。狙いや好みに応じて発色傾向を調整する機能は、前モデルまでの「マイカラー」から本モデルでは「スタイル設定」に変更され、より柔軟なカスタマイズが可能になっています。
トータルとしては、広角から超望遠までの撮影を気軽に楽しめるスナップカメラとして高い完成度を感じました。キビキビとしたレスポンスのよさや、簡潔にまとまった操作系も好印象です。個人的には、RAW記録に非対応な点が唯一残念なところですが、そもそもマニア向けのカメラではないので仕方ないのかもしれません。
EVFを使わずに背面液晶で撮ることに慣れている人や、JPEG撮影のみで問題ない人には、積極的におすすめできます。はるか遠くの被写体も大きく引き寄せて撮れる960mm相当の超望遠を一度味わってしまうと、もはや低倍率のカメラには戻れないでしょう。