A12 Bionicでは、バッテリー持続時間の向上が目を見張る。
iPhone XS Maxは6.5インチとこれまでで最大のサイズとなったが、デバイス自体の大きさはiPhone 8 Plusとほぼ同じだ。これよりひとまわり小さいサイズに6.1インチ液晶のiPhone XR、更にひとまわり小さいサイズに5.8インチのiPhone XSがラインアップされる。
つまり、iPhone 8とiPhone 8 Plusの間に、iPhone XS、iPhone XR、iPhone XS Maxの3モデルが展開されたということになる。縁なしのオールスクリーンデザインの採用で、デバイス自体のサイズの小型化を図ったのだ。結果的にAppleは、iPhoneのオールスクリーン化によって、最大サイズをiPhone 8 Plusとする決定を下したことになる。
デバイスのサイズはディスプレイサイズを規定すると同時に、搭載可能なバッテリーのサイズも規定される。当然、iPhone 8 Plusより大きなディスプレイサイズのiPhone XS Maxとて、iPhone 8 Plus以上の容量のバッテリーを搭載できない。
しかし、iPhone XSはiPhone Xより30分、iPhone XS Maxは1時間半ものバッテリー持続時間を向上させている。
そしてこれは特筆すべきことだろう、iPhone XSでは内蔵のバッテリー容量は、10.35Whから10.13Whへと少なくなっていることが、iFixitの分解によって明らかになった 。にもかかわらず、実利用で1日あたり30分のバッテリー性能向上は、A12 Bionicの省電力性の恩恵と推測されよう。
ちなみにAppleのスペックシートには、具体的なバッテリー容量が示されていないが、iPhone XRはiPhone XS Maxよりも長いバッテリー持続時間を実現していて、インターネットやビデオ再生で1〜2時間長くなっている。
一般的に、有機ELディスプレイは液晶ディスプレイより省電力性に優れるとされており、薄型化にも寄与すると言われている。実際、iPhone XRは8.3mmで、7.7mmに留まっているiPhone XSシリーズよりも厚みがある。
iPhone XRのバッテリー寿命が長いのは、やや奇妙に映るが、もしかしたら、秘密はこの厚みにあるのかもしれない。というのも、厚みが増せばバッテリー搭載量も増やせるからだ。この件については、発売後でなければ分からないが、iPhone XRは大容量バッテリーとA12 Bionicの双方の恩恵を受けて、iPhoneで最も長いバッテリー持続時間を実現しているのかもしれない。