バリュートレードから、AVIOT(アビオット)ブランドの完全ワイヤレスイヤホン3モデルが発表されました。音質は? 装着感は? 途切れにくさは? その実力をさっそく、検証してみました。

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    いい音楽は有線、という時代でもなくなってきました

最新チップ搭載の「b」はaptX対応

今回発表された完全ワイヤレスイヤホンは「TE-D01a」「TE-D01b」「TE-D01c」の3モデル。末尾の1文字しか違いがないため混乱しますが、AVIOTブランドでは先頭の文字が通信方式(「T」はトゥルーワイヤレス。ネックバンド型の場合は頭文字がワイヤレスを表す「W」となるでしょう)、2文字目がイヤホン(Earphone)かヘッドホン(Headphone)かを表しています。もしAVIOTブランドからヘッドホンが登場したら、「H」が入るはずです。

ハイフン直後の文字「D」はドライバ形式(ダイナミックの「D」)、つぎの数字「01」は搭載ドライバの数(ダイナミックドライバを1つ搭載しているということ)、そして最後のアルファベットは世代を意味します。たとえばAVIOTからつぎに、BA型ドライバ×2基を搭載した完全ワイヤレスイヤホンが発売されるとしたら、名称は「TE-B02d」になると予想されます。

スペックの注目点は、なんといってもTE-D01bに搭載されたクアルコムの最新チップ「QCC3026」。ざっくりいうと、「省電力なうえ途切れにくく高音質」を実現するチップなのです。

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    クアルコムの最新チップを搭載した「TE-D01b」。価格は14,880円(税別)。カラーバリエーションはブラック、ガンメタル、ネイビーの3色

QCC3026は、従来のチップと比べて受信感度が大幅に向上したことにくわえ、親機/子機の役割を任意のタイミングで入れ替える機能を持ちます。これまで完全ワイヤレスイヤホンのほとんどは、左右のどちらかが親機となってスマートフォンと通信し、親機が受信した音楽データをもう一方のイヤホン(子機)に送信していました。

この仕組みだと、受信と送信のどちらも行う親機の電力消費量が多くなり、連続再生時間も短くなります。親機/子機をときどき入れ替えると、左右のイヤホンでバランスよく電力が消費され、結果としてバッテリーが長持ちするというわけです。しかも、従来のクアルコム製チップより大幅に受信感度が向上。アンテナ配置の見直しもあり、音が途切れにくくなりました。

また、QCC3026はデュアルコア32bitプロセッサのアプリケーションサブシステムと、120MHz駆動のKalimba DSPオーディオサブシステムによるトライコアアーキテクチャを採用しつつ、6mAh以下という省電力を実現しており、TE-D01bは1度の充電で最大9時間の連続再生が可能なことも見逃せません。

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    1回の充電で9時間も音楽を楽しめます。充電ケースと組み合わせると、なんと81時間もの音楽再生が可能です

実際にTE-D01bを試したところ、音の途切れにくさに驚きました。完全ワイヤレスイヤホンといえば、片方を手で覆うと音切れを起こすものですが、TE-D01bにはそれがありません。スマートフォンとのペアリングも、左右間の通信確立も、すこぶるスムーズです。これは、親機/子機をタイムリーに入れ替えられるQCC3026ならではのアドバンテージといえるでしょう。

低遅延・高効率のオーディオコーデック「aptX(アプトエックス)」に対応したことも注目です。クアルコムに取材したところ、子機との2次接続にもaptXが使用されるとの回答だったので、親機から子機へオーディオ信号を伝送するときにSBCなどのコーデックで変換され、音質が劣化する心配もありません。

iPhone Xとペアリングして宇多田ヒカルの「花束を君に」を再生したところ(FLAC 96kHz/24bit、ONKYO HF Playerを使用)、グラフェン振動板の効果もあり、低域のスピード感に気づかされました。冒頭のボーカルの定位は明確で、声の輪郭はボヤけません。バックのオーケストラも心地よく、低域から中高域まで力まず素直に再生してくれる印象です。

ただし、iPhoneとはAACでの接続になりますから、TE-D01bの真の実力は測れません。そこでaptX接続時の音を検証すべく、今度はShanlingの「M0」(aptXのほか、ソニーの高音質・低遅延コーデック「LDAC」にも対応するなど、機能が充実した小型DAP)とペアリングして、iPhone Xと同じく「花束を君に」を再生したところ、音の景色が一変しました。音場の幅と奥行きが大きく広がり、スピード感や解像感もはっきり実感できるレベルで改善されます。AAC接続時と比較すると、薄皮が2枚も3枚も剥がれたかのようなクリアネスです。

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    aptX対応のDAP/スマートフォンで聴くと、音の景色が一変します

ところで、QCC3026はクアルコムの最新SoC「Snapdragon 845」搭載スマートフォンと組み合わせることにより、右のイヤホンと左のイヤホンにそれぞれ信号を独立して送信する機能「TrueWireless Stereo Plus」をサポートしています。SoC側で機能を有効化する処理が必要(オプション扱いのため、端末ベンダーの判断)となるため、Snapdragon 845搭載端末が必ずTrueWireless Stereo Plusに対応するとはかぎりませんが、今後Androidスマートフォンを購入するときは必ずチェックすべきポイントといえそうです(2018年10月の時点で、日本でTWS Plusを使えるスマートフォンはまだありません)。

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    TrueWireless Stereo Plusの仕組み。デバイス側が左右のイヤホンそれぞれに信号を送信できます