●立松嗣章氏×成田一樹氏のドキュメンタリードラマ作品一覧
『8・12日航機墜落 20年目の誓い』(05年)
『世紀の天才・ダヴィンチ 最大の謎と秘密の暗号』(06年)
『硫黄島 戦場の郵便配達』(06年)
『プリンセス・ダイアナ 最後の瞬間』(07年)
『金賢姫を捕らえた男たち』(07年)
『なでしこ隊』(08年)
『新証言! 三億円事件』(08年)
『フジテレビ開局50年特別企画 激動!世紀の大事件』(09年)
『戦場のメロディ』(09年)
『神戸新聞の7日間』(10年)
『地下鉄サリン事件15年目の真相』(10年)
ドキュメンタリードラマの手法を開発
2人が手がけてきたドキュメンタリードラマは、立松氏が編成、成田氏が報道に在籍していた時に制作した『8・12日航機墜落 20年目の誓い』(05年、視聴率17.6% ※ビデオリサーチ調べ・関東地区、以下同)を皮切りに、年間2~3本ペースで11本を制作。従来のドキュメンタリードラマと呼ばれる作品は、本編のドラマの最初と最後に少し実際の映像を足したり、ドキュメンタリーの中に少し再現ドラマを入れたりという構成が主だったが、ドラマとドキュメンタリーの映像を7:3程度の比率で、躊躇なくドキュメント映像を差し込んでいく手法を開発した。
主な作品は、『世紀の天才・ダヴィンチ 最大の謎と秘密の暗号』(06年、22.0%)、『金賢姫を捕らえた男たち』(07年、視聴率16.4%)、『なでしこ』(08年、16.1%)、『新証言!三億円事件』(08年、17.2%)、『神戸新聞の7日間』(10年、15.3%)など、軒並み高視聴率を記録し、「フジテレビにドキュメンタリードラマあり」と一目置かれる存在に。
その後は、それぞれ異動もあって、しばらくタッグを組むことはなかったが、「これだけ自然災害が多発する時代になってきた中で、いま、日々のニュースとは違うアプローチで伝えるべきことが何なのかと考えた」(立松氏)ということで、アナウンス室長が「企画」を担当するドキュメンタリーとしては異例の座組で今回の番組が立ち上がった。
テレビソフトの1つの価値として共有
フジはこれまで、ドキュメンタリーの名手・横山隆晴氏が手がけ、その後ドラマ化もされた『白線流し』や、現在も続く歌舞伎・中村屋の密着シリーズ、野田聖子議員(現・総務相)の代理出産、そして最近でも東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(88~89年)の宮崎勤元死刑囚や、暗殺された金正男氏など、ドキュメンタリー番組を積極的にゴールデンタイムで放送してきたが、「他局よりもドキュメンタリーというジャンルを、テレビソフトの1つの価値として共有している文化が全社的にあると思います」(成田氏)という。
今年4月には情報バラエティ『バイキング』のスタッフが手がけるドキュメンタリードラマなどで構成する『直撃!シンソウ坂上』もスタートしたが、そうした土壌が、今回のセクショナリズムにとらわれない枠組みを実現した背景にあるようだ。