ニッセイ保険エージェンシーは、生命保険最大手企業である日本生命保険が100%出資する直系子会社だ。2019年には創業60年を迎える同社の営業職制の多くは日本生命出身ので、生損保のクロスセリング販売に取り組んでいる。

そんなニッセイ保険エージェンシーが、業務部門の業務効率化を図るためのツールとしてFCE プロセス&テクノロジーが扱うRPAソフト「ロボパット(Robo-Pat)」の導入に向けて動き出したのは、2017年夏のことだ。

「特に人件費削減に迫られていたわけではないのですが、ルーチン業務の効率化やコスト削減というのは大切なことです。また、365日24時間ミスなく働いてくれるというキーワードに専務がピンときたことあり、導入を決めました」と語るのは、ニッセイ保険エージェンシー 取締役執行役員 総務部長である北川雅敏氏だ。

  • ニッセイ保険エージェンシー 取締役執行役員 総務部長 北川雅敏氏

元々、女性が活躍できる職場を目指して取り組みを進めてきた同社は、残業削減や年次有給休暇の取得率向上にも取り組んでいた。さまざまな働き方改革を進める中で、RPAは有用な手段に思えたという。

「ロボットに仕事を任せれば、もっと創造的な仕事に人が注力できるようになります。ロボットを使うほど勤務時間も削減できるでしょう。経営層が新しいシステムに対して理解があり、先進的な取り組みに積極的であるという社風もあり、導入はスムーズに決定しました」と北川氏は語る。

簡単操作で業務を行うエンドユーザー自身が小さな効率化を実現

ニッセイ保険エージェンシーが導入した「ロボパット」は、画面上のアイコンなどを指定して認識させ、クリック等の動作を指示することでプログラミングの知識がなくてもロボットの作成ができるツールだ。同社ではこのツールを、現場の職員が直接利用し、自分の仕事を効率化するために活用するという方式で採用している。

  • 「ロボパット」の画面

  • 「Click」といった動作と、対象のアイコンをセットで定義していく

「ロボパットはハードルの低いツールです。他社事例では大規模な業務をロボットに任せていることが多いようですが、そういう使い方をするためにはどうしてもプロの手が必要になります。実際の利用までに必要となるカスタマイズに時間やコストがかかる方式ではなく、業務を知っている現場の人間が直接利用できるのがポイントです」と北川氏は採用理由を語る。

ブラウザ経由で閲覧できるデータを取得し、Excelで整理・分析を行い、業務システムに登録するというような業務は作業自体は難しくないものの、複数システムを開き、ログイン処理をするというだけでも手間がかかる。統計処理などは人の判断が必要なようでいて、よく考えるとロボットに任せられることも多いという。

そうした処理を少しずつでもRPAで効率化しようと考えている同社では、ロボットに任せられる業務の洗い出しを行っているが、それぞれを実現した場合に削減できる人的負担は0.1~0.3人月程度と小さい。それでも、積み重ねることが大事だという判断だ。

「ロボットの作成自体は非常に簡単なので、少しでも任せられる部分があればロボットを作ってしまおうと考えています。ロボットを作る手間と手作業のどちらが楽か、というようなことを秤にかけたりはしませんね」と語るのは、社内で最もRPAを活用しているという営業推進部課長の梅澤和彦氏だ。

  • ニッセイ保険エージェンシー 営業推進部課長 梅澤和彦氏