――現場では『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』のレギュラーキャストのみなさんとコミュニケーションを取る機会はあったのでしょうか。

田中:僕は撮影2日、アフレコ1日で3日だけの参加だったんですけれども、その中でも印象に残っているのが戦闘のシーンです。当日現場でアクション監督の方がみなさんに動きをつけられるんですけれど、どんどん撮影はしていかないといけないわけですから、かけられる時間も限られるんですね。なので、その中で見せるみんなの集中力の高さはすごいものがありました。一歩間違ったらケガしますからね。

あとは本当にワンカット、ワンシーンに対する熱意とか思い。もちろん、自分にも熱意も思いもあるんですよ。でも、この作品がデビューという方もいらっしゃるので、そうした思いとか情熱みたいなものが、本当にすごく素晴らしくて。自分も一生懸命やっているんですけど、若手のころってもっと一生懸命やっていたんじゃないかとか、そんな思いをさせてくれるくらい、ワンカットごとに一生懸命真剣に撮影されているのが刺激になりました。自分も全然キャリアなんてないんですけど、その真っすぐさに、「アカン、頑張らな!」と思いました。

――藤井さんは撮影で何か印象的なできごとはありましたか?

藤井:赤楚衛二さん(万丈龍我/仮面ライダークローズ役)が何度か撮りなおしていた時があったのですが、その全身で食らいついてお芝居を諦めない姿を拝見して自分の若い時とは全然違うな!と思いました。私はヒーローでもなければ主役でもなかったので姿を重ねるのも図々しい話ですが(笑)。若い頃まったく食らいつく事もなく好き勝手にして、ディレクターさんや演出家の先生に怒られてばかりでした。

赤楚くんがそこに立ち向かっている姿には、この一年間を本当にヒーローとして生きているからこその、本当に生活のすべてを作品に捧げてらっしゃる方の凄みをひしひしと感じました。監督も、愛情といろんなものが交差していて、見ていて本当に胸がいっぱいになりました。なので自分と重ねたわけじゃなくて、すごいなぁと感心しました!

――同じくゲストとして参加された勝村政信さん、松井玲奈さんとはいかがでしたか?

藤井:勝村さんとは久しぶりにご一緒できて、キャッキャッしてました(笑)。楽しかったですね。松井さんは、映画に参加するとなった時に、あらためて『ビルド』をもう一度観直したそうなんです。そのお話を聞いて、本当に頭が下がる思いでした。作品についてわからないことがあったら、松井さんに聞けばなんでも教えてくださるので、すごく心強かったです。

――お二人とも役者としてもすごくたくさんの作品に出演されていて、今回の映画の中でもお二人の演技が作品に厚みを加えています。あらためて、お互いの役者としての魅力とは、どんなところにあるとお思いですか。

藤井:僕はココリコのふたりが大好きなんですね。遠藤くんとは独身の頃、給料や家賃の話とかまでしていたまさに友達です。一方で田中くんは、仕事の愚痴も聞いてもらうし、旅行にも一緒に行ったりするんですけど、一緒にいて"しゃべらなくていい人"の一人なんですね。彼が出演している映画を見てもすごい人だなと思っていますし、それで賞を取られて評価もされています。もちろん、ご本人には葛藤もあったと思いますけど、でも飄々としているんです。そんな優しくて軽やかなところが好きです。気楽なのが一緒にいて"しゃべらなくていい人"の理由なのかもしれません。

バラエティ番組、司会、コント番組、ロケなどいろいろな仕事を抱えていらっしゃいますが、どの仕事もきちんとやろうとしているのが透けて見えますよね。それが田中くんの品の良さだと僕は思っています。どの仕事も手を抜かない。演技もバラエティーも田中直樹のやる仕事は全部素晴らしいんだと僕は思っています。

演技の仕事時は本当に自然にスッと役に入っていくんです。そうして監督さんや共演者の期待に応えようとする姿がとても素敵ですね。演技も彼の誠実さや優しさからスタートしていると思います。