グラフィックスメモリもGDDR6メモリに刷新
Turingでもうひとつ大きな飛躍といえるのが、GDDR6メモリの採用である。GDDR5の次は広帯域のHBM/HBM2メモリと目されていたが、AMDのFijiやVegaで分かった通りチップの確保やコスト面でのデメリットは非常に大きい。
そこでPascal世代のGTX 1080と1080TiではGDDR5Xでメモリ帯域を引き上げたが、GDDR5Xは5よりもアクセス時の粒度{グラニュアリティ)が大きいという欠点を抱えている。つまり1回のアクセスで一緒に取り出すデータ量がGDDR5Xの方が多いため、小さなデータを引き出したい時でも大きなデータを取り出さないといけない。
これに対しGDDR6では、GDDR5と同程度のグラニュアリティに戻っている。メモリクロックもGDDR5Xより高くなったことで、4Kプレイ時のようにメモリの帯域が重要な局面で効果が期待できるだろう。
イベントでは具体的な性能についてほとんど触れなかったNVIDIAだが、本稿執筆中に突如としてGTX 1080対RTX 2080のベンチデータを出してきた。それによると、4K環境においてRTX 2080はGTX 1080の1.3~.5倍、前述のDLSSを利用すれば2倍程度のパフォーマンスが出るという。
DLSSを使うということは、見た目はほぼ同じだが設定が違うということなので単純な比較は危険だが、DLSSがなくてもCUDAコアの増加やGDDR6メモリの採用により、Pascal世代の同格GPUには勝てるということだろう。
NVLinkでSLIが強化
さらに大きな変更点は、NVIDIA独自のマルチGPU実装「SLI」において、GPU同士のデータ交換に使うブリッジが、Quadroなどにも使われているNVLinkに変更されたことだ。
ブリッジ部分の仕様はディスプレイの発展とリンクしており、フルHD時代はSLI(シングルリンク)、Pascalと4KではSLI HBブリッジとなったが、NVLinkを採用したことでより帯域が太くなり、より高解像度ディスプレイ環境に対応することが可能になる。
果たしてどこまで想定しているかは不明だが、4Kサラウンド環境でリアルタイムレイトレーシングを堪能するには、NVLinkのブリッジが必要になるのだろうか?
将来を見据えたUSB-CとVirtualLink
最後に残った新要素が、映像出力周りの仕様変更だ。RTX 20シリーズでも映像出力はDisplayPortが主体だが、ついに8K@60Hz出力に対応した。さらにUSB Type-Cの映像出力を備えたことも特筆すべきだろう。
さらにこのUSB Type-CはVRヘッドセットの接続を簡便にするための規格「VitrualLink」にも対応するなど、将来を見据えて攻めた仕様になった。
ただこのUSB Type-CはRTX 2070のリファレンスデザインには搭載されない。RTX 2070でUSB Type-CやVirtualLinkを使いたければ、FEもしくはAICメーカー向けの製品から探すしかないのだ。