ドイツのケルンにおいて、国際的なゲームの展示会「Gamescom 2018」が開催されているが、それに合わせた2018年8月20日18時(現地時間)に、NVIDIAが特別イベント「GeForce Gaming Celebration」を開催した。
長らく明かされなかったPascalの後継アーキテクチャ“Turing”、そしてそのTuringアーキテクチャを採用した「GeForce RTX 2070」「同2080」「同2080Ti」、すなわちGeForce RTX 20シリーズのGPUを発表した。
なぜこれまで使ってきた“GeForce GTX”ブランドを捨て、GeForce RTXという“あまり速そうなイメージのない”ブランドに切り替えたのか? それはRTX 20がリアルタイムレイトレーシング機能を実装したGPUだからである。NVIDIAは約10年前から研究や準備を進め、今後20年のPCグラフィックスの方向性を決める製品として投入したという。
本稿を執筆している8月23日現在、RTX 20シリーズはNVDIAの直販サイトにおいてRTX 2080のFounders Edition{以降FEと略記)のみ、9月20日出荷予定でオーダーを受け付けている。RTX 2070 FEおよび2080Ti FEについては注文可能になったらメールで通知が来るレベルの扱いになっている。
RTX 20シリーズのスペックについて、すでに即日アップされた速報が上がっているが、改めてまとめてみた。今回のプレゼンでは、ジェンスン氏はデュアルファン仕様となった新しいFounders Edition(以降FE)を掲げていたが、今回は一番安価なリファレンスモデル(恐らくAICメーカーの最安モデルのベースになるものと推測)とFEのスペックが判明している。
この他にAICメーカーが独自設計した製品が加わる、正確なスペックがまだ伏せられているメーカーも多い。最後の瞬間まで調整が続くものと推測される。
従来のSM、レイトレーシング用のRTコア、そしてAI用のTensorコア
Turingアーキテクチャの詳しい技術解説については、残念ながら現段階ではお知らせできない{公開には時間がかかりそうだ)。ローンチイベントで告知された内容をまとめると、以下のようになる。
- Turingアーキテクチャの特徴
- CUDAコアはPascal世代からやや増加
- GPU Boostは第4世代に突入
- レイトレーシング処理を専門に行うRTコア
- AI処理を行うTensorコア
- GDDR6メモリの採用
- SLIのバスがNVLinkベースに
- USB Type-CとVirtualLinkの採用
CUDAコア、動作クロック、GPU Boost
まず、CUDAコア数の増加については特に語るべきことはない。コア数が多めになったがベースクロックは低め。ブーストロックに関していえば、Pascal世代よりもやや高めに設定されている。
内部設計の差異はさておいて、ここの部分だけでも基本性能は上がっていることが推測できる。後述するが整数演算と浮動小数点演算をコンカレントに実行することもTuringに盛り込まれたことで、内部の計算効率はかなり上がっていることが推測できる。
そして、GPU Boostは世代が1つくり上がった第4世代となった。Pascalで導入されたGPU Boost 3.0はFV曲線{Frequency-Voltage:あるクロックに到達する時のコア電圧の関係を示したカーブ)を操作し、より限界を攻めやすい機能を売りにしていたが、第4世代ではこれがどう強化されるか楽しみだ。