局地的大雨から身を守るためには、発達した積乱雲の接近を見逃さないことが肝要となる。積乱雲が近づいてきた際の主なサインには、以下のようなものがある。

■空が真っ黒な雲に覆われだす

積乱雲は縦に積み重なった雲であるため、地上から見ると太陽の光を通さずに黒く見える。こういった真っ黒な雲が近づいてきて、辺りが薄暗く感じるようになったら局地的大雨に注意したい。

■雷の音が聞こえる

雷も積乱雲の接近を知らせるサイン。ゴロゴロといった音が聞こえてきたら、約10~20km先まで積乱雲が近づいていると考えてもよい。積乱雲のスピードは意外と速く、中には時速60kmに達するものもあるという。「まだ遠くで鳴っているから大丈夫」などと安心していると、すぐに大雨に見舞われる可能性があることを覚えておきたい。

■急に冷たい風が吹いてきた

積乱雲の下降流は冷気を伴っており、冷気が地面付近にたまるとその冷気が雲の外へ広がることがある。急にひやっとした風を感じたら、積乱雲の接近を疑ってみるのがいいかもしれない。

また、気象庁は「高解像度降水ナウキャスト」や「降水・雷・竜巻発生確度ナウキャスト」を通じ、今後の雨や雷、竜巻発生確度の予想を250m四方、1km四方、10km四方の領域単位で発表している。これらの気象情報を基に、局地的 大雨への警戒をするのもいいだろう。

  • ナウキャストはスマートフォンでも確認できる

    ナウキャストはスマートフォンでも確認できる

外出時に局地的大雨に襲われたときの対策

ただ、どれだけ注意を払っていても、局地的大雨に遭遇してしまうこともある。そのような際は、河川の増水と浸水に最大限の注意を払わねばならない。特に小規模河川は急に増水するケースがあるため、不用意に河川敷には近づかないようにしよう。

地下を通る道路やアンダーパスなどの低い場所は水がたまりやすく、無理に進入して立ち往生した場合、水圧によって車のドアが開かなくなる可能性もある。大雨が降りしきっていたら、そういった道は可能な限り避けた方が賢明と言える。

  • 小規模河川は急に増水する恐れがある(提供: 神戸市建設局)
  • 小規模河川は急に増水する恐れがある(提供: 神戸市建設局)
  • 小規模河川は急に増水する恐れがある(提供: 神戸市建設局)

雨以外で警戒したいのは「雷」「竜巻」だと笠原予報官は解説する。それぞれの対策のポイントをまとめたので参考にしてほしい。

雷は高い物に落ちる性質があるため、周りに建造物があればそれらが人間を守ってくれる可能性が高い。そういった意味で、街の中は比較的安全と言えよう。

反対に、雷が鳴り響いている際に最も避けたい場所は、そういった建造物が周囲に何もない広場や平原、海岸などだ。そういった場所でとりわけ注意したいのが「側撃雷」と呼ばれる現象。木や電柱などに雷が落ちた(直撃雷)とき、その周囲で起こる放電を側撃雷と呼ぶ。

突然の大雨に見舞われて木の下で雨宿りをしていると、その木に雷が落ち、その放電で人が感電する可能性もある。そのリスクを減らすため、近くに避難できる建物がなく木のそばで雨や雷をやり過ごす際は、幹や枝から5メートル以上離れて身をかがめた方がよい。

竜巻

竜巻を発生させやすいタイプの積乱雲もあるため、そういった積乱雲をレーダーで検知すると天気予報と同じ地域(県をいくつかに分けた区域)単位で竜巻注意情報を出す。その情報を細かくチェックすることが対策として有効となる。

台風と同様に飛んでくる物に当たるケースもあるので、積乱雲が来る兆しがあったら頑丈な建物に入るようにしたい。竜巻が近づいてきたら基本的には屋内の1階にとどまり、ガラスの破損に備えてカーテンを閉めて窓から離れた場所で竜巻をやり過ごすのがいいだろう。