富士フイルムのミラーレス一眼カメラ「FUJIFILM X」シリーズは、同社が長年の写真・映画用フイルムの製造で培った色再現を最新のデジタル技術に盛り込んだことが評価されています。最新モデルの「FUJIFILM X-H1」は、シリーズ初のボディ内手ぶれ補正機構を搭載し、写真にも動画にも強いフラッグシップモデルとしてヒットしています。

  • FUJIFILM Xシリーズで唯一、ETERNAのフィルムシミュレーションを搭載した高性能ミラーレス一眼「FUJIFILM X-H1」。ボディ単体モデルの実売価格は税込23万円前後

このX-H1ですが、Xシリーズでおなじみのフィルムシミュレーション機能に新しい「ETERNA」(エテルナ)モードが加わったのも大きな特徴として挙げられます。ETERNAは、一般には市販されていない映画用フィルムの名称。12段もの広いダイナミックレンジを持っており、ハイライトとシャドウが柔らかく表現されます。色再現は彩度をやや抑えながら、落ち着いたトーンで表現されるのもポイント。「シネマルック」とも呼ばれる味わい深い映画フィルムのテイストを、動画だけでなく写真でも撮影できるのが、このETERNAのフィルムシミュレーションの醍醐味なのです。

  • ETERNAモードはフィルムシミュレーションから選択できる

  • ETERNAのトーンカーブを見ると、ハイライトやシャドウの階調表現を重視していることが分かる

実際に撮影してみると、なるほど映画のような優しく、どことなく懐かしい描写が得られました。スナップやポートレートはもちろん、動画の撮影でも広く使えそうな雰囲気を持っています。アスペクト比を通常の3:2から16:9に切り替えれば、写真撮影でもまるで映画のような雰囲気に仕上がるでしょう。

  • X-H1を持って、青竹が生い茂る竹林へ。ETERNAモードは全体のトーンが柔らかく出るので、静寂な印象が演出できました(XF10-24mmF4 R OIS使用、ISO200、1/25秒、F5.6)

  • よく訪れる小田原の古民家カフェでの1枚。大口径レンズの浅い被写界深度とETERNAモードはよくマッチします。ショーケースの写り込みと美しいボケが相まって、まさに映画のワンシーンのような仕上がりになりました(XF56mmF1.2 R使用、ISO200、1/250秒、F1.2)

  • ETERNAモードとボケの相性はバッチリ。特に、スムーズなボケ味で定評のあるXF56mmF1.2 Rのレンズとは最適なようです。落ち着いた色調が、レトロな雰囲気をより引き立ててくれます(XF56mmF1.2 R使用、ISO200、1/1000秒、F1.2)

  • ハイライトからシャドウまでのなめらかな連続感が、ETERNAモードの描写の特徴ともいえます。コンラストを優しく表現しながら彩度を抑えており、見ていても疲れることのない写真に仕上がるのがこのモードです(XF56mmF1.2 R使用、ISO200、1/125秒、F1.2)