――戦いの中でさまざまなものを失い、対立し、いろいろなことを乗り越えた上での、あの2人の関係性ですからね。
男くさい展開ですよね。自分の仲間を殺されながらも、戦兎に「戦争の中のことだからしょうがない」というふうに一海が言った通り、"だけど進んでいくんだ"と。一海も、戦いの中で傷つき続けてきました。ただ幻徳も、自分の正義のために動いてきた結果、父親を失っていている。一海もそんな幻徳にどこかシンパシーを感じて、今のような関係になっているのかもしれないんですよね。
――ストーリーの前半の感じでは、一番合わなそうな2人ですもんね。
お互いに悪口を言いながら、でもお互いに背負っているものを知っていて、だからこうやって生きているんだというのを認め合わなければ、こういう関係性にはなれないんですよね。なのですごく平和的な2人だと思うんです。ケンカをしていても、お互いの底の部分を認め合っていれば、大丈夫ですから。『ビルド』は「戦争」をテーマにしているところ、描いているところもあって、この友情の中にも、実はそういうものが含まれているんじゃないかと、今お話ししていて感じました。
――上堀内監督が監督される映画に出演されるというのはいかがでしたか?
純粋にうれしかったですね。彼は考えに考えて、自分の世界観を作り上げていくタイプ。でもお芝居もすごく大事にして、心情を描くのにこだわる頑固者でもあります。僕は、上堀内監督は職人気質とアーティスト気質を持ち合わせた監督だと思っています。年齢も近いこともあるのですが、そんな監督と一緒に映画を作ることができる機会なので、本気でぶつかり合って作り上げられたらなと思いました。
彼の演出するカットは派手な部分ももっているし、静かな心情を描くテクニックももっています。今回の撮影でも、監督が気を遣いながらも、なんとか局面を打破しようとする姿を見てきました。彼のその不器用なところも含めて、僕は大好きですね。こんなヤツとはなかなか最近出会わないなって。将来的に上堀内監督がどうなっていくのかというのもすごく気になりますし、僕自身も負けないように頑張っていきたいなと思っています。
監督は、これからの「仮面ライダー」でもそうですけれど、いろいろな作品で活躍していくのではないかと思っています。そういったところでも一緒にやりたい。僕がまた10年後に「仮面ライダー」に戻って、彼とまた一緒にやれるといいですね(笑)。
――第47話「ゼロ度の炎」で、一海はまさに彼らしい"結末"を迎えます。こちらについて、おうかがいできますでしょうか。
映画の制作発表会見の日(6/12)にその回の台本をいただいたんです。実は、僕もなんとなくわかっていたんですよ。