――上堀内監督ご自身もライダーの劇場版を演出するのは昨年冬の『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』に続く二度目ということで、気合いが入っていたのではないでしょうか。

上堀内監督から最初に言われたのは、とにかく、この映画の中では"暑い"んだと。みんなすごく汗をかいているということ。そこをすごく強調していました。予告編を観ていても、すごく暑さというものが表現されていて、そういった演出の仕方は面白いなと思いましたね。やはり画で見たときの季節感というのは大事ですから。監督は面白いアイデアを持ってくるという印象があります。

――映画がテレビシリーズの第45話と第46話の中間に位置するお話だというのも重要ですね。幻徳は戦兎の仲間として仮面ライダーローグに変身し、カッコいいところを見せる一方で、映画のあちこちでネタっぽい行動をとってウケを狙うのも忘れてはいないという。

まあテレビでも映画でも、カッコいいところと面白いところのバランスをとるのは必要だと思います。

――そういう意味では、映画は幻徳においても1年間の集大成的な意味合いを持たせていると考えていいですか。

そうでしょうね(笑)。僕自身も幻徳がこんな風に変化するとは、最初のころは夢にも思ってもいませんでした。

――改めて思い返せば、初期編での幻徳もダンディかつ冷徹に決めている一方で、どことなくコミカルなオーラをふりまいている瞬間が見られますね。YouTubeで配信されていた「変身講座 ナイトローグ編」の映像では、ファウストのスタッフがカメラを回す前で、幻徳がトランスチームガンを手にニヤリと笑って、スタッフから「気持ち悪いです」とダメ出しされるという……。

あ、いやいや、気持ち悪いとは言われてないですよ(笑)。「ナイトローグさま、お顔がいま怖い感じに……」とは言われていますけれどね。意味合いがぜんぜん違いますから。

――大変失礼しました! でも、ああいう幻徳の茶目っ気というのは、わりと初期から匂わせていたところがあったんだと、映像を観返すと驚かされますね。

第1話からジャーナリストの紗羽の取材を受けつつ「隣のホテルで朝まで語り明かそうか」なんて言っていますしね(笑)。最近のような幻徳のハジケ方ではないんですけれど、初期のころから少しユーモアを交えたセリフがいくつかあったのは確かです。一応、そういうくだりも撮影していたんですけれど、放送時間の都合などで、遊びのシーンからカットされることが多かったんですよ。だから、幻徳という人物の中には多少なりともコミカルな要素を持っているんだな、と思いながら演技をしていました。

――幻徳のユーモアというか、コミカルな部分はそのままキャラクターの「人間味」として画面に現れていると思います。それは演じる水上さんのパーソナリティが自然とにじみ出た結果だ、と思ってもいいでしょうか。

そういうところはあるかもしれません。よく、『ビルド』の出演者は役と本人の性格が似ている、という話になるんですが、僕もそれは以前から「みんな演じる役に似てるな」と思っていました。自分でもセリフをしゃべっていて「(幻徳の考えていることが)自分と遠くはないな」って感じるときがありますよ。

――テレビシリーズはいよいよ最終回に向けて最後の盛り上がりを見せているようです。知的生命が棲む惑星をほんの一瞬で滅ぼせるほどの巨大な敵・エボルトに、ビルドたちがどのような戦いを挑むのか、毎回のエピソードがとても楽しみなんですけれど、最後に幻徳はどのような結末を迎えるのか、すでにご存じなのではないですか?

現段階では幻徳がどうなるのか、まだ明らかになっていません。僕はあちこちのインタビューで「首相になりたい」と希望を言っているんですけれど(笑)。果たしてどうなるでしょうか……。映画が公開されるころには撮影もすでにクランクアップ後になりますので、どうなっているか確認するのが楽しみですね。