ソニーが東京・銀座のど真ん中に、新しい公園「Ginza Sony Park」(銀座ソニーパーク)を8月9日にオープンしました。従来の家電メーカーのショールームとは一線を画すような、銀座の街を訪れる人と人、あるいは人と体験をつなぐ今までになかったパブリックスペースです。
銀座ソニーパークは、昨年(2017)春に営業を終了した旧ソニービルの跡地にオープンしました。フロア構成は、プラントハンターの西畠清順氏をプロデューサーに迎えて様々な植物で緑化した地上フロアと、地下4階にまでまたがっています。
かつて雑貨屋のPLAZAやフレンチレストランのマキシム・ド・パリが店を構えていた広大なスペースが、パブリックスペースに生まれ変わりました。“開園”時間は毎日の朝5時から深夜24時半まで。オープン時間中は、銀座ソニーパークのスタッフが館内施設の案内などのため常駐しています。
9日のグランドオープンに先立ち、前日にプレス向け内覧会が開催されました。プレゼンテーションを行ったソニー企業株式会社 代表取締役社長 チーフブランディングオフィサーの永野大輔氏は「1966年に設立した旧ソニービルが当初から掲げてきた“銀座の庭”としてのコンセプトを受け継ぎながら、人と街をつなぐ新しいインタフェースになることが銀座ソニーパークという大きなプロジェクトのテーマ」であると述べています。
実は、銀座ソニーパークは2022年の竣工を予定する新ソニービルの、大掛かりなプロジェクトのはじめの一歩でもあります。銀座ソニーパークは2018年から2020年の秋まで、現在のかたちで機能したのちに、またいったん休業期間を経て、2022年に地上フロアにも展開する新ソニービルに変貌を遂げることになります。
銀座ソニーパークを訪れると、すべてのフロアにゆったりとした“空き地”が多くあることに気がつくと思います。その意図を永野氏が次のように語っています。
「スペースのデザインについてはプロジェクトのメンバーが集まって、将来どのようなソニービルにするべきかという議論を重ねてきました。東京オリンピックが開催される2020年までに、都内で新しいビルが数多く建つことがわかっていたので、だったらソニーはあえて“ほかがやらないことをやる”という道を選択して、“ビルを建てない”ことで独自性を打ち出すことにしました。
用途が決められていないスペースを自由に使えることが、公園の魅力であると考えています。一方で、パブリックスペースとしての機能性を高めるため、8階建てだった旧ソニービルよりもさらに洗面所の数を増やしています」(永野氏)。
銀座ソニーパークを上空から俯瞰(ふかん)すると、都内の1等地に不思議な緑豊かなスペースが広がっています。そのインパクトは目で見ると確かに強烈なものがあります。地下2階は東京メトロのコンコースと直結していて、銀座ソニーパークで賑やかに実施されているイベントの様子が目に飛び込んできます。地下3階も広大な西銀座駐車場の地下2階と直結しているので、徒歩を含めて様々な交通手段で気軽に訪れることができます。
ソニービルが新たな姿へダイナミックに変わる様子にあえてスポットライトを当てるために、旧ソニービルのコンクリート躯体や、かつてのビルに店を構えていたショップの壁を飾っていたタイルはそのまま残されています。永野氏は「ビルの解体という、今しかない時間を多くの方々に体験してもらうためのデザイン」であると、ともすれば無機質なようにも見える“公園”の内装に込めた熱い想いを説いています。