Nikon 1 V3を購入した当時、しかし私のNikon 1システムの使用頻度は緩やかに下降しつつあった。当方の写真生活、および写真家稼業において、Nikon 1のお株を奪うヤツが現れていたからだ。ソニーの「RX10」である。かたやレンズ交換式アドバン(以下略)、もう一方はコンデジのオバケ。常識的には両者、一見バッティングしない間柄に見えるけれど現実は違った。
センサーサイズはどちらも1インチで一緒だ。でも、写りはNikon 1が単焦点レンズを振りかざさない限りRX10のほうが上。とりわけ、高感度画質には歴然たる差があり、高倍率ズーム搭載による利便性の高さを掛け合わせると、もはやNikon 1にこだわる理由は希薄だった。高速性では圧倒的にV3が優位も、使用する機会は限られる一方だったのだ。
世間でも同じ事態が起こっていたとは考えにくいが、メーカーラインアップの中におけるNikon 1推しのパワーが盛り上がりを見せることはなかった。そして、2015年4月に入門機「Nikon 1 J5」を出したのを最後に、ついに消滅。このことに、フルサイズミラーレスの登場と直接の関係があるのかどうかは分からない。でも、Nikon 1がなくなってしまったのは現実だ。
ソニーとのガチンコ勝負になるのは間違いない
さて、間もなく登場するニコンのフルサイズミラーレスなのだが、これもやっぱり私個人の中では、いや、これに関しては世間一般の捉え方としてもソニーとの戦いになることは確実だろう。そもそも、ソニーのフルサイズEマウント機を意識したモノになっている可能性は高く、放っておいても競合は避けられないはずなのだ。ソニーフルサイズEマウント機の見せる現在までの躍進ぶりと飛び抜け方は、数年前の予想を完全にブッちぎるレベルにある。まずはそこに追いつき、可及的速やかに追い越す流れを作らねば、ニコンのフルサイズミラーレス、いろいろとタイヘンなことになりそうだ。後発の強みをどんなカタチで示してくれるのか? とっても楽しみで、正直ちょっと心配だったりするのである。