ユニークな動きとして目についたのが、九州電力が販売を開始した独自のスマートスピーカー「QUUN」です。
これは同社が新たに立ち上げた同名のIoTサービスの中核となるモデルで、ホームオートメーションや自宅を守る機能、高齢者の見守り機能、さらには電力消費量が見えるエナジー機能など、電力会社らしい独自機能を提供します。
注目したいのは、Amazon AlexaやGoogleアシスタントとは異なる、独自の音声アシスタントを搭載していることです。さらに標準ボイスには声優の雨宮天さんを起用するほか、キャラも選ぶことができ、かつ好きな名前をつけられるなど、他のスマートスピーカーとは一風変わった特徴を備えています。
すでに先月の時点で、サービスインに先駆けてモニターサービスが開始されていましたが、7月下旬から正式提供が始まり、ホームゲートウェイや赤外線コントローラ、各種センサ、多機能ボタンなど連携するIoTデバイスを含むラインナップが発表されました。
スマートスピーカーを核に据えたIoTサービスを提供する事業者は増えつつありますが、電力会社がオリジナルのハードウェアを用いて参入するケースは珍しいだけに、今後の動向には注目したいところです。ちなみに一部の訪問サービスを除けば、九州以外のエリアでも利用は可能とのことです。
スマートスピーカーで広告、実証実験始まる
もうひとつ、スマートスピーカーでのマネタイズに関して、興味深い発表がありました。それは、博報堂DYメディアパートナーズとロボットスタート、イードの3社が、スマートスピーカーでの音声広告について、7月23日から8月31日にかけて、実証実験を行うというものです。
これはスマートスピーカーで読み上げられるニュースの中に音声広告を挿入することで、スマートスピーカーにおける広告の可能性を探るというものです。実証実験では12のニュースコンテンツが参加し、読み上げを行うニュースとニュースの間に、音声広告が挿入されるとしています。リリースに書かれているイメージを見る限り、ラジオCMに近い形だと推測されます。
もともとスマートスピーカーのスキルにはマネタイズの仕組みが乏しく、それゆえ各種ニューススキルは提供各社の収入になっておらず、実質的に持ち出しになっている現状があります。スマートスピーカーの将来を見据えた場合、広告配信は避けて通れない道ですが、ひとつ間違えばせっかく掴んだユーザをすべて逃しかねないリスクもはらんでいます。
その点、どのような広告であればユーザに受け入れられるのかを探っていくこの実証実験は、スマートスピーカーで事業を行おうとしている企業にとって興味があるのは間違いないところ。どのような結果がもたらされるのか、期待したいところです。