2005年に第1作が放映されてから10年以上もの長きにわたってファンの心を掴み続けている特撮テレビシリーズ「牙狼<GARO>」。古代から人間を脅かす魔獣「ホラー」と、これを殲滅する使命を帯びた「魔戒騎士」との暗闘を描いた本作は、従来「子ども」をターゲットにしていた特撮ヒーロー作品とはまったく趣を異にして、完全に大人の視聴者を意識した「深夜」という放送枠と、「闇」を意識したダークな画作りなどによって好評を博し、「深夜特撮」という新しいジャンルを切り拓いた作品として知られている。「牙狼」は好評のうちにシリーズ化され、さらには映画化、アニメ化(TVと映画)、舞台化を実現させ、大きく発展していった。
日本を代表する映像クリエイター・雨宮慶太氏が原作・脚本・総監督を務めた「牙狼」シリーズは、近代兵器に「和」のテイストを盛り込んだり、ファンタジックな幻想世界を具現化したりと、独自の世界観、およびビジュアルに強いこだわりを見せ、独自の「雨宮ワールド」を築き上げている。シリーズが進むにつれて、雨宮監督の作り出した「牙狼」世界を継承する多彩なクリエイターたちが多く参入。常に斬新な物語、意欲的なビジュアル作りが試みられる人気シリーズとして、その名はより広く知られるようになった。
2015年4月よりテレビ放映された『牙狼<GARO>-GOLD STORM-翔』は、「ガロ」の称号を持つ魔戒騎士・道外流牙(演:栗山航)とそのパートナーである魔戒法師・莉杏が、伝説の魔城ラダン復活を目論む"最凶のホラー"ジンガの野望を阻止するべく戦うという物語だった。かつて『仮面ライダーディケイド』(2009年)で主人公・門矢士を演じて人気を博した井上正大が徹底してクールに演じあげたジンガは、人間を守って戦う道外流牙と正反対の邪悪な存在、ヒーローに対する「アンチヒーロー」として強い印象を残した。
さらにジンガはその後も、2016年のシリーズオールスター作品『牙狼<GARO>魔戒列伝』(第2話)、2017年11月の舞台『牙狼<GARO>-神ノ牙 覚醒-KAMINOKIBA MEZAME』、2018年1月の映画『牙狼<GARO>神ノ牙-KAMINOKIBA-』に登場。人気キャラクターとして確かな地位を築きあげた。
そして2018年10月。ジンガをメインに据えたテレビシリーズ最新作『神ノ牙-JINGA-』が、満を持して放送されることが決定した。ここでは、新作テレビシリーズ『神ノ牙-JINGA-』と、映画『牙狼<GARO>神ノ牙-KAMINOKIBA-』Blu-ray&DVD発売(9月5日)を記念して、ジンガを演じた井上正大と、ジンガのパートナーである美女アミリを演じる松野井雅の2人に、それぞれのキャラクターへの思いや「牙狼<GARO>」シリーズへの向き合い方、そしてシリーズ名物となる激しいライブアクションへのこだわりについて、熱いトークを繰り広げてもらった。
――ジンガとアミリは、お互い命を失っても"死"から甦るなどして、初登場の『-GOLD STORM-翔』から映画『神ノ牙』まで、ずっといいコンビとして活躍されていますね。お2人が初めて出会ったときのことからお話をうかがってもよいですか。
松野井:最初に井上くんに会ったときは、めっちゃ怖かったんです。この人が私(アミリ)の相方なのか……と思って。「もう、怖い! 絶対ヤダ!」っていう見た目だったんです。
井上:別の作品の撮影をやっていたので、雅と初めて会った時は金髪にしていたんだよね(笑)。
松野井:しゃべったら怖いかな~なんて思っていたんですよ。でも、最初に声をかけてくれたのがこの人でしたからね。中身はとても優しい人だったんです。
井上:雅とは、撮影に入る前のアクション練習のときに初めて会いました。僕の第一印象は、髪が長くて、ずっと下を向いている女性がいるなって(笑)。
松野井:ああっ、それにはちゃんと理由があるんです。
井上:「牙狼<GARO>」シリーズでは、生身のキャラクター同士のアクションシーンにCGは極力使わず、ライブアクションを見せる、という部分に力を入れていますので、事前にキャストが集まってアクション練習をするんです。まずは受け身とか、簡単なものからやるんですけれど、自分以外の人がどこまで出来るんだろう、なんて思うじゃないですか。まず初めにやるのが前転、「でんぐりがえし」なんですけれど、雅はもうそこからできなかったという。
松野井:三半規管がめちゃくちゃ弱いってことが、私自身あのとき初めてわかったんです(笑)。一回もできなくて、途方に暮れて下を向いていたんです。あのとき練習に来ていたのは、私と同年代の役者さん7人で、みんな初対面でぜんぜん仲良くなれていないし、みんな「俺はアクションできるぜ!」ってアピールしていて。