日本版はリアリティを追求
第2話(7月19日放送)では、低出生体重児で腸のほとんどが壊死状態の赤ちゃんを救うという衝撃のストーリーが展開されたが、これは実際にもある事例だそう。また、手術室へ移動するリスクが大きい際、緊急的にNICU(新生児集中治療室)で手術を行うということも現実にあるそうだ。
原作は韓国のドラマだが、韓国版の主人公は、他の医師たちが気づかない問題に、超能力的に気づく役柄。これに対して今回の日本版では、あくまで湊の観察力と知識によって察知するというリアリティを追求していることから、その部分でも医療監修の役割は大きい。「第2話で、湊が『大丈夫です! 腸が動いてます』と気づくシーンがありましたが、あれは湊が赤ちゃんをちゃんと触って毎日見ていたから、超音波の画像で確認して気づくという形にしました。そして手術をして、胆汁が漏れていることに気づくのも、よく見ている湊だからこそ分かるような画像にしてもらいました」と、制作側の要求に応えている。
他にも、手術シーンでは、特殊造形の担当が製作したリアルな臓器模型を使っているが、放送では画面にほとんど出てこない。それでも、そこにこだわるのは「みんなの動きに緊張感が出るんです。あと、先生たちはゴーグルを付けているんですが、そこにお腹の様子が映ることがあるんです。だから、手術のシーンは、そういうところに気をつけて見てくれるとありがたいですね」とポイントを解説してくれた。
医療関係者の協力は異例の多さ
このように、リアリティのあるドラマを制作するため、小児外科担当の医療監修は、浮山教授を含め3人、自閉症スペクトラム障がいの監修が1人という計4人体制。さらに、医療指導、看護指導、取材協力という形で多くの医療関係者が携わっており、「これだけの人数が関わるのは、ドラマとしてはすごく多いです。これまでもいろんな医療ドラマの監修をしてきましたが、プロデューサーさんが相当勉強されていますので、こちらもそれに負けないように頑張らなければ」と話す。
病院の現場では、医師も看護師も皆ドラマを見てくれているそうで、「みんな喜んでくれています」と評価されているとのこと。また、「1回目の放送前に、某国立大学の教授から『楽しみにしています』というメールもいただきました。そういう偉い方も注目されているので、全国の小児外科医は必ず見ていると思います」という。
こうした期待がかかる背景には、日本の小児外科医の人数が全医師のわずか0.3%と、不足している実情がある。地域差も出てきており、浮山教授の出身地である福井県には専門医が1人もいないそうだ。浮山教授は「数が少ないことに加えて、小児外科医全体が高齢化しつつあるという問題もあるんです。だから、全国で医者を目指している若い人たちが、小児外科医を目指してくれるようなドラマになるよう、一生懸命やらせていただいてます」と、今作に医療監修として携わることへの使命感も見せている。