今年に入って掃除機の発表会が格段に多くなっています。新規参入メーカーが増え、掃除機はいま、もっとも勢いがあるカテゴリーのひとつです。もちろん、国内メーカーも掃除機の開発に力が入っています。今回、パナソニックの掃除機を作っている工場を見学してきました。
訪れたのは、滋賀県東近江市にある八日市工場です。敷地面積は86,160平方メートル、樹脂の成形などを行う「源泉工場」、掃除機や生ゴミ処理機などを組み立てる「組立工場」、事務所がある「管理棟」で構成され、490名(取材時)が働いています。同工場の強みは、デザインから設計、生産を一気通貫で行えるので、柔軟ですばやいモノづくりができることです。
パナソニックの掃除機、その歴史をひも解くと、昭和29年にハンディタイプの第一号機が誕生。以来、日本の生活の変化とともに、進化を続けてきたことがわかります。
日本の住宅は、「平屋で和室中心」から、「2階建て戸建て・じゅうたんの床」、そして「マンションやフローリングの増加」と、変化してきました。パナソニックの掃除機は、畳に最適化したモデル、階段の昇降に便利な軽量モデル、フローリングに対応したふきそうじ搭載モデルというように変化しています。
これは、パナソニックが日本の生活様式を継続的に研究してきたからです。八日市工場では、研究の様子も見学しました。
日本の住宅は床材いろいろ、だからブラシの毛にこだわる
まずは「床面性能実験室」です。ここは、床上での掃除(ノズル)性能の評価を行うところです。
日本の住宅の床面は、フローリング、畳、じゅうたんなどが混在しています。しかも、フローリングでもじゅうたんでも、床に座ることが多く、床に近い生活をしている人が少なくありません。
そうなると、細かいゴミや隅のゴミが気になるものです。そこで、異なる床面の材質を使って性能テストをしているというわけです。さらにこだわりのポイントが、隣の棚にありました。ずらっと並んだ棚に入っているのは、ヘッドブラシ用の毛の素材です。
掃除をするとき、同じヘッド(ヘッドの付け替えなし)でいろいろな床面が掃除できたら便利ですよね。パナソニックは、フローリング向きのブラシ、じゅうたん向きのブラシなどを素材から選んでいます。どうしてこんなに種類があるかというと、「モデルごとに風の流れやパワーが違うので、それぞれに適した組み合わせを選択するため」なのだそうです。
実際に、新製品「POWER CORDLESS」で掃除をするとこのとおり。材質が異なってもキレイに掃除ができます