• X-H1とXF56mmF1.2 Rの組み合わせは鬼に金棒ですが、ACROSモードで撮ればさらに深い描写が得られました。ピント面はとてもシャープですが、そこから美しくボケていく感じがとろけていくような上品なイメージです(XF56mmF1.2 R使用、ISO200、1/250秒、F1.2)

  • 窓辺のテーブルに置かれたグラス。沈んでいるのは果物でしょうか? X-H1のACROSモードは、表面に付いた水滴をシャープに写しながら、背景へと滑らかにトーンを描いています。大きなボケ味と絶妙なブラック&ホワイトがたまらない描写となりました(XF56mmF1.2 R使用、ISO200、1/1000秒、F1.2)

  • 街角で見かけた植物。人の背丈ほどまで伸びて、存在感をアピールしています。ACROSモードの優しいトーンが、その葉の様子を克明かつ確実に捉えました。豊かな階調が葉ひとつひとつの立体感を高めるのに寄与しています(XF10-24mmF4 R OIS使用、ISO200、1/105秒、F8.0、-1補正)

  • 粒状性と階調性、そしてシャープネスを持つACROSモードは実に頼もしいと感じます。このカットのようにキラリと光る波の輝きから、手前の消波ブロックの黒いところまで、破綻なく滑らかに描写してくれるからです。あらゆるシーンで格調高いモノクローム撮影が楽しめるモードといえるでしょう(XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR使用、ISO200、1/1100秒、F5.6、-0.3補正)

  • 砕け散る波。X-H1の速写性能のおかげで、その様子をシャープに捉えてくれました。しぶきのひとつひとつはシャープでありながら、グレーに写った波のトーンは優しく豊かで美しい表現です。ACROSモードの懐深い部分を感じたカットとなりました(XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR使用、ISO200、1/1600秒、F4.5、-0.7補正)

  • 情景を余すところなくブラック&ホワイトで表現できるACROSモードは、風景からスナップ、そしてポートレートまで幅広く使用できるフィルムシミュレーションといえます。カラーでも残したい場合は、フィルムシミュレーションブラケット撮影やRAWで撮影し、自分のイメージに合ったカットを選ぶのがよいでしょう(XF35mmF1.4 R使用、ISO200、1/1800秒、F2.8、-1補正)

  • ACROSモードで撮るオススメの被写体は、ちょっとレトロな風景や建物、商店街などがいいかもしれません。このフィルムシミュレーションは、それらの雰囲気や情景をトーン豊かに写し取ってくれることでしょう。あとはポートレートです。優しい光の中やサイドからの強烈な光で人物を撮影すると、印象深い美しいものに仕上がるに違いありません。露出も、ややオーバー目からアンダー目まで、複数のカットを撮ることをオススメします(XF35mmF1.4 R使用、ISO200、1/125秒、F5.0、-0.7補正)

ACROSモードでさまざまな被写体を撮影してみましたが、実にシルキーな描写にウットリさせられました。自分は、ACROSよりもネオパンSSやネオパン400を愛用した世代なのですが、キメの細かい粒状感と、豊かで秩序立ったトーンの素晴らしさは大いに魅力的だと感じます。往年のフィルムの味を最新のミラーレス一眼と交換レンズで手軽に味わえるフィルムシミュレーションは本当に楽しく、さまざまな被写体を撮りたくなってしまいます。モノクローム撮影にこだわりたい人は、単純な白黒写真ではないACROSモードに注目してみるのもよいでしょう。