ポタフェスといえばポータブルオーディオの祭典、その主役はイヤホンやヘッドホン……ではあるものの、接続手段を「Bluetooth」に限定してみると、また違った製品が見えてくるはず。秋葉原で2日間にわたり開催されたポタフェス2018、Bluetoothオーディオ関連製品にしぼって、気になる製品の情報をお届けします。

■SHANLING「M0」

  • SHANLING M0

    カラバリ豊富な「SHANLING M0」。Bluetoothの送信/受信どちらもOKという斬新なDAPです

7月から正式販売がスタートした中国・シャンリンの小型DAP「M0」は、某スマートウォッチからベルトを取り除いたようなルックスで……と、外観で評価すると本質を見誤ります。microSDに保存したハイレゾ音源(PCMは最大384kHz/32bit、DSDは5.6MHz)の再生能力もさることながら、Bluetoothを“両刀使い”できることがポイントです。

一般的に、このサイズのデバイスでイヤホンを接続できる(=ヘッドホンアンプを内蔵している)のであれば、他のBluetooth機器からの信号を受信するレシーバーとしての振る舞いを期待しますが、このM0は送信機(トランスミッター)としても動作します。microSDの音源を再生し、Bluetoothイヤホン/スピーカーへ出力することができるのです。しかもハイレゾ級の96kHz/24bitを再生できる高音質コーデック「LDAC」をサポートしています。

  • SHANLING M0

    製品の質感は高く、高級感すら漂います

Bluetoothレシーバーとしても動作します。M0自身はWi-Fi非対応のため直接インターネットに接続することはできませんが、スマートフォンの音をBluetoothで受信すれば、SpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスも聴くことができます。

  • SHANLING M0

    Bluetoothレシーバーとして利用するときは、再生/停止などは送り出し側(スマートフォン)で行います

肝心の音質は接続するイヤホン次第、送信先のデバイス次第ですから、ここでの評価は避けましょう。それより、Bluetoothの音を送ることも受けることもできることの可能性(しかもLDAC対応)、専用革製ケースが付属して15,000円台というコスパの高さに注目すべきDAPといえるでしょう。

■オーディオテクニカ「ATH-CKS7TW」

※2018年7月25日、「ATH-CKS7TW」の発売中止が正式にアナウンスされました。

  • オーディオテクニカ「ATH-CKS7TW」

    オーディオテクニカ初の完全ワイヤレス「ATH-CKS7TW」。ブラック/シャンパンゴールド/レッドの3色が用意されます

オーディオテクニカ初の完全ワイヤレスイヤホンが、ついに姿を現しました。その名は「ATH-CKS7TW」、迫力の低音がウリの「SOLID BASS」シリーズにラインナップされる製品です。

気になるのはその音質、なにかと制約が多い完全ワイヤレスをどう料理したのか、オーディオテクニカならではの工夫は見られるのか、SOLID BASSというからには低域はどう響くのか……iPhone Xとペアリングしてジャズ/ロックを中心に試聴してみました。

  • オーディオテクニカ「ATH-CKS7TW」

    11mmの大口径ドライバーが、電気/音響エリアを完全に分離したハウジングに収まります

まず気付くのは、低域のハリとスピード感。直径6mm、8mmというドライバー(振動板)を採用する完全ワイヤレス機が多いなか、ATH-CKS7TWには専用設計された11mmの大口径ドライバーが搭載されていますから、音の迫力と音場の広さは格別です。

シリーズ名からは低域を強調した音を想像してしまいがちですが、低域はやや強調気味くらいで、過剰感はありません。中域・高域にかけてツヤがあり、女性ボーカルの透明感もしっかり表現できます。電気/音響エリアを完全に分離した「デュアルレイヤー・テクノロジー」と呼ばれる独自構造も、音づくりにひと役かっているようです。

  • オーディオテクニカ「ATH-CKS7TW」

    充電ケースを併用すれば、最大約20時間という長時間リスニングが可能です

もうひとつのウリは、最大約8時間という連続再生時間でしょうか。充電ケースを併用すれば、最大約20時間という長時間リスニングが可能になりますから、1日持ち歩いてもOK。XS/S/M/Lという4サイズのイヤーピースも標準装備とのことで、耳へのフィットが重要な完全ワイヤレスモデルらしい配慮もうれしいですね。