NHKでニュース番組の顔として、穏やかな語り口で“麿”の愛称でも親しまれてきた登坂淳一アナウンサー。今年1月にNHKを退局してフリーとなった後、週刊誌報道を受けてメーンキャスターに就任予定だったフジテレビの報道番組『プライムニュース イブニング』の出演を取りやめる事態となったが、最近になってバラエティ番組での露出が増えている。
長年テレビで活躍しながらも、これまで全く出演することのなかった畑違いの現場だが、どのような心境で臨んでいるのか。そして、しばらく離れてしまった報道番組への復帰の意欲は。本人に直撃した――。
『有吉ゼミ』で芸人と大食いに挑戦
――『ワイドナショー』(フジ)を皮切りに、『プレバト!!』(MBS)、そして今後も『ダウンタウンDX』(19日、読売テレビ)、『有吉ゼミ』(23日、日本テレビ)と、バラエティ番組への出演が増えていますね。NHK時代はずっと報道ですか?
はい。だから、娯楽番組自体を担当することも全くなかったんです。
――『有吉ゼミ』はどんな企画に参加するんですか?
ギャル曽根さんに、トータルテンボスの藤田さんとガリットチュウ福島さんと大食いに挑みました。最後まで食べ続けましたが…実質挑めてなかったです(笑)
――芸人さんの中に入って奮闘されるなんて、NHK時代は想像もできませんでしたよね。そんなバラエティの世界に飛び込んで、手応えはありますか?
新しいことをやる時って、なかなか手応えは感じられないですよね。だから、まだ分からないです。マネージャーにいつも「今日の収録はどうでしたか?」と確認しています。収録では、共演者の皆さんやお客さん、スタッフの方が笑ってくれたかどうかが唯一のバロメーターなんですが、自分の狙ってないところで笑ってくれたり(笑)。『プレバト!!』で、結果が出る前に心臓が飛び出るくらい緊張して、無意識に脈を測ったんですよ。そしたらそういうところを笑ってくれましたね。
――ご自身の気づかない魅力が、バラエティに出ることによって引き出されているかもしれないですね。
バラエティだと、皆さん自分の思うことをカットインして話すことがあるじゃないですか。報道をやっていると、自分の考えや意見を持っていても、それを放送で言う習慣や必要性がなかったので、それもすごく新鮮ですね。
――アナウンサーかつ局員でしたから、なおさらですよね。
今までは「これを言ってはいけない」ということを先に考えちゃう思考回路で、食レポ1つとっても「これ、おいしいです」とは言わず、「これ、おいしいと思いませんか?」と周りに振って、あとはどうにでも展開するような話し方をしておりましたので(笑)
ダウンタウンの優しさに驚き
――そういった意見を言うことがメインなのが『ワイドナショー』ですよね。コメンテーターというのは難しいですか?
やっぱりものをしゃべるときに、自分なりの取材ができれば、自信を持って話せるなというのを、あらためて感じました。今まで、少しでも当事者がどう思っているのかを聞いた上で話したいと思ってやってきたので、自分の意見にその部分をプラスしてコメントしたいんですよね。
――先日ご出演された時は、大阪北部地震を取り上げていましたが、登坂さんはNHKで大阪放送局に赴任していた時期がありましたよね。
知人も多くて心配だったので、収録の前に「会社に行ったんですか?」とか「大きな地震があると会社が休みになる決まりなどはあるんですか?」とか、いろいろ話を聞いて、そこからの情報を入れてコメントしました。
――『ワイドナショー』は、松本人志さんや東野幸治さんからのツッコミも厳しいので、騒動後の最初の番組として、よく出演を決断されたなと思いました。
せっかくチャンスを与えてくださったので、出演させていただきました。たしかに緊張感はいつもと全然違いますし、「無事に終われるんだろうか…」とも思いました。こちらとしては、騒動や大きな新番組を事前に降板してしまったことへの反省の意も込めて、包み隠さずお話ししようと思っていたのですが、松本さんをはじめ皆さん厳しくツッコんでいただきながら、温かく接してくれて、大変ありがたかったです。
――すでに2回出演されましたので、番組側からの評価も高かったのではないでしょうか。
というふうに思いたいです(笑)。まだ正解が分からないので。
――その次が、浜田雅功さんMCの『プレバト!!』なので、はからずもダウンタウンさんとの共演が続きましたが、印象はいかがでしたか?
ずっとテレビで見てきた人たちだったので、本当はどんな人だろう?と思っていたのですが、すごく優しいという印象ですね。本当に温かいなという感じ。あれだけ大御所の方なので、あいさつをしても距離感を感じるのかなと思ったんですけど、すごく気さくだったんです。それは驚きましたね。