かつては提携の日産とスバル、各社の取り組み

日産の西川社長は、先の株主総会で工場の完成車検査不正問題についてこう述べている。

「完成検査の問題は1989年までしかさかのぼれないが、実際は1979年からあったようで長きにわたり常態化していた。現在の日産を統括する身としては、状況を把握・再点検し、信頼を回復して、業績の回復を図ることが責任をとることになる。我々にとっても、昨年の9、10月に経験したことのない対処を求められた。長年行われてきたことで対応に手間取ったことも確か。いまの経営陣にとって挽回することが責任であり、工場が安定的に法令順守することをさらに強化していく」

国内工場の完成車検査不正は、旧・日産時代から常態化していたとするが、そうなると、ゴーン体制に移行してからも、生産現場まではゴーン経営が浸透していなかったことになる。加えて、完成検査問題でなく排ガスデータ改ざんも露呈したことは、SUBARU(スバル)のケースと同様である。

スバルの吉永前社長は、会長兼CEOとなって社内改革にあたることにしていたが、データ不正問題が出たことでCEOと代表権を返上し、責任を取ることになった。かつて日産とスバル(旧・富士重工業)は長らく資本提携関係にあったが、くしくも日産とスバルにだけ、この不祥事が起きているというのはどういうことなのだろうか。

いずれにしても、ゴーン会長が言うように「日産のボス」はゴーン氏から西川社長に移ったのであり、西川体制でコンプライアンスとガバナンスをきちんと見直さないと、ルノー/日産/三菱自3社連合の中核としての日産が、ルノーに統合されてしまうのではないか。こんな勝手な見方が杞憂に終わればいいのだが。