続いてサントリーの付加価値自動販売機をチェックしよう。こちらは、かなりユニークだ。自動販売機といえば、飲料を買うもの、あるいはタバコを購入するものと思うだろう。少なくはなったが、カップ麺を購入できるものもある。

ところが、今回サントリーが投入するのは、お弁当が購入できるというもの。もちろん、ガシャンと音を立ててお弁当が落とされるのではない。そんなことをすれば、盛りつけは崩れるし、何よりも衛生的ではない。売れ残ったお弁当の廃棄リスクも少なくないはずだ。

そこで、サントリーでは自動販売機にお弁当ボタンを用意し、それで購入をすると付近の飲食店からお弁当がデリバリーされる仕組みを採った。デリバリーというカタチなので、不特定多数の購入者が相手の街中の自動販売機ではなく、企業に導入された所在が明確な自動販売機のみになるが、いくつかメリットが生じる。なお、飲食店のコーディネイトはぐるなびが行う。

  • 上段:お弁当が購入できる自動販売機。その日の日替わりメニューのほか、お弁当購入ボタンが用意されている。下段:お弁当を購入すると、飲料で使える10円分のコインが出てくる。届けられたお弁当パッケージの一例

昼休みの有効活用に最適

その最大のメリットが食事時間の短縮だろう。朝10時までに自動販売機でお弁当をオーダーすれば、近隣の飲食店から12時までに届けられる。わざわざ、近隣の飲食店に歩かなくてよいので、昼休みの時間を有効に活用できる。「コンビニでもよいのでは?」という意見もありそうだが、昼休みのコンビニのレジは混雑する。しかも、温め待ちでレンジの前に行列ができることもある。

そして日替わりなのもウレシイ。飲食店に足を運ぶと何しようか迷ったり、逆に同じメニューばかりを選んだりすることもある。日替わりならば“問答無用”で、メニューが決め打ちされる。

  • メニュー例。左は水曜日の「二種味比べ牛タン弁当」。右は木曜日の「宅弁限定 梅の花特製 2段弁当」

一方、飲食店側のメリットも大きい。店舗内の食事のほかにお弁当を用意する飲食店も多いが、お弁当があまる可能性があり、廃棄ということにもなる。だが、事前に自動販売機からの発注数がわかっていれば、廃棄の可能性はなくなる。昼間のお弁当を気に入ってくれて、夜の飲食に利用してもらえることも考えられる。

問題はセキュリティ。基本的に発注されたお弁当は、自販機近くのテーブルなどに置かれるのだが、発注者以外の人が持って行ってしまう可能性がある。また、最近のオフィスは厳重な入室管理により、部外者である飲食店スタッフが入れないシーンもありそうだ。ただ、オフィスグリコのように、総務や事業部の担当者と取り決めが交わされれば、クリアできそうだ。

いずれにせよ、自動販売機に新たな機能が組み込まれ始めた。今後、どのような自販機が出てくるのか、楽しみである。