普段、何気なく使っている自動販売機。日本自動販売システム機械工業会によると、清涼飲料を提供する自販機だけで、約2,130,000台になるそうだ(2017年12月時点)。もうこうなると、単なる販売チャネルのひとつというよりも、ある意味インフラともいえそうだ。
実際、ライフラインといえなくもない。特にこれからは熱中症の季節。熱中症で亡くなられる方は毎年300~500人といわれており、猛暑の年だと1,000人を超えることもある。気軽に水分補給できる自動販売機は、清涼感やテイストを味わう以外の役目も果たしていることになる。
その自動販売機において、大手飲料メーカーが付加価値を模索し始めた。奇しくも7月初旬、キリンビバレッジとサントリービバレッジソリューションが相次いで付加機能付きの自動販売機を発表した。
まずは、キリンの自動販売機について。簡単にいえば防犯機能付きということになる。飲料サンプルの一部に監視カメラを備え、街の状況を撮影する。つまりは防犯カメラの役割を自動販売機に内蔵しているわけだが、一般的な防犯カメラとは大きく異なる。
犯罪解決に加え抑止効果も期待
というのも、一般的な防犯カメラは高い位置に設置されるので、顔の細部などがみえない場合がある。一方、自動販売機は人の高さとほぼ同じ位置から撮影をする。これならば、映像から人物を確認しやすく、いざ犯罪が発生した場合、解決につながりやすい。そして何よりも、高い位置に設置する一般的な防犯カメラに比べ、安価なコストで導入可能だ。
もうひとつ利点がある。それは、防犯カメラを搭載した自動販売機には、そのことを伝えるPOPが掲げられる。一般的な防犯カメラは高い位置にあるので、それに気づかずに犯罪につながる可能性がある。だが、自動販売機に防犯カメラが内蔵されていることをあえて伝えることで、犯罪の抑止につなげようというワケだ。ないとは思うが、その気になればカメラを内蔵していなくても、POPだけで効果が生まれる可能性もある。
とにかく、防犯カメラ内蔵の自動販売機が存在していることを、広く知れわたらせることが犯罪への抑止につながる。