日曜劇場は最近注目のプロデューサー
プロデューサーという点で注目なのが、『陸王』『99.9-刑事専門弁護士-』『ブラックペアン』とヒットを連発し、飛ぶ鳥を落とす勢いのTBS日曜劇場・松本穂香主演『この世界の片隅に』の佐野亜裕美氏だ。佐野Pの前作は、昨年熱狂的なファンを生んだ松たか子主演の『カルテット』で、満足度は3.89、その前作(GP帯ドラマ)で生田斗真主演の『ウロボロス』(15年)が3.92と、挑戦的な作風でありながらも視聴者の満足度をしっかり確保する最近注目のプロデューサーの1人。
また、今作の脚本を手掛けるのは、昨年のNHK朝ドラ『ひよっこ』(満足度3.83)や、『続・最後から二番目の恋』(4.02/14年、フジ)、『泣くな、はらちゃん』(3.90/15年、日テレ)と、王道から超変化球作品までどんな作品でも視聴者を高い満足度にさせるヒットメーカー・岡田惠和氏。今作はアニメ映画が高評価を得ており、ドラマ化にあたっては否定的な意見も多いが、制作するスタッフは十分に信頼できる布陣。原作漫画やアニメを知っている視聴者も大いに期待していい作品だろう。
ジワジワ来てる木10『グッド・ドクター』
“放送枠”という点で注目なのが、山崎賢人主演の『グッド・ドクター』を放送するフジテレビの木曜22時枠「木曜劇場」だ。「木曜劇場」は、かつて『愛という名のもとに』(92年)や、『眠れる森』(98年)、『電車男』(05年)など、ヒット作を多く生み出してきた“月9”より歴史あるフジの伝統的なドラマ枠だったが、最近の作品を振り返ると、16年4月期の松下奈緒主演『早子先生、結婚するって本当ですか?』(満足度3.33)、17年1月期の香里奈主演『嫌われる勇気』(3.33)、同年7月期の真木よう子主演『セシルのもくろみ』(3.09)と、17年終了時点で集計した12年4月期以降のGP帯ドラマ全397作品中、それぞれ387位・389位・最下位と満足度を落としており、視聴者にとってあまり“面白くない枠”となりつつあった。
だが、昨年10月期の浅野忠信主演『刑事ゆがみ』(3.85)、今年1月期の深田恭子主演『隣の家族は青く見える』(3.85)、前期でディーン・フジオカ主演の『モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―』(3.84)と、いずれも趣きの違った3作品を制作し、連続して高満足度のラインを超える作品を送り出している。ようやく暗いトンネルから抜け出しつつあり、今、最も勢いのある枠と言っていいだろう。
また、『グッド・ドクター』は、サヴァン症候群の青年医師が主人公の医療モノ。「木曜劇場」×医療ものといえば、『白い巨塔』(03~04年)、『Dr.コトー診療所』(03・06年)、『医龍』(06・07・10・14年)と、名作ぞろいでハズレなし。原作の韓国ドラマ版やリメイクされたアメリカ版も好評だが、日本版のこちらも大きな期待をもっていいだろう。
野島伸司×日テレ水曜ドラマが20年ぶりという他にも、今回の夏ドラマは、波瑠主演『サバイバル・ウェディング』(日テレ)を、『のだめカンタービレ』(06年、フジ)以来のGP帯連ドラ執筆となる衛藤凛氏が脚本。また、『金田一少年の事件簿』や『サイコメトラーEIJI』、『ぼくらの勇気 未満都市』など、かつて日テレ土曜ドラマのジャニーズ主演の名作を多く生み出してきた脚本家・小原信治氏が、GP帯連ドラでは01年の松本潤版『金田一』以来17年ぶりで、こちらもジャニーズのNEWS・加藤シゲアキ主演の『ゼロ 一獲千金ゲーム』を手掛けるなど、往年のドラマファンにとっては、懐かしの作家の最新作が久しぶりに見られるという点でも期待が高まるクール。退屈知らずの夏になりそうだ。