オーバースペックの格好よさ
インテリアも虚飾を排し、シンプルで使いやすいことを追求したというが、ラグジュアリーとは別の意味で、質感を上げることにはこだわったと辻村氏は話す。例えば、インパネにシワ模様を施す「シボ加工」は、新型ジムニーで3種類を新たに開発したそう。具体的には、ドライバーがスピードなどを確認するメーター回りには、ツヤを落として太陽光の反射を抑えるシボ加工を採用するなど、気配りは細かい。1つのクルマで3種類のシボ加工を開発することは滅多にないそうだ。
プロが使う道具として、機能美にフォーカスしたデザインとなっている新型ジムニー。その無骨さが、かえって魅力的だと考える顧客もいるとスズキは見ている。「デザインとして考えているのは、ミリタリーブーツや本格的なアウトドアジャケットだ。10万円もする高価なジャケットを街で着ている人がいるが、そういう感覚でジムニーを買ってもらってもいい。そうすると、見せかけの“SUV調”ではなく、本格的な機能を持ったクルマ、それに乗る格好よさが増すのでは」というのが高羽氏の言葉だ。あえて、都会では不必要なまでにオーバースペックなアイテムを身にまとう格好よさ。こんな魅力が確かに、ジムニーにはある。