Appleは2017年に開催した世界開発者会議(WWDC 2017)で、iOS 11を「iPad史上最大のアップデート」と謳った。iOS 11には、MacでおなじみのDockの採用や、画面分割によるマルチタスクの強化、ドラッグ&ドロップ操作など、生産性を高めるUIの向上が数多く盛りこまれていた。

WWDC 2018で発表されたiOS 12は、iPadに対してさほど大きなアナウンスがなかったかもしれない。しかし、iPadやMacの将来を占う上で重要な事項が隠されていた。

  • iOS 12は2013年モデルとなるiPad Air以降のiPadで動作する。プロセッサの活用方法の改善で、動作速度の体感的な向上を、古いデバイスでも実現するという

iOS 12でのiPadに関するアップデートは、基調講演の場では後述する新アプリの追加発表にとどまった。しかしAppleが公開したiOS 12の新機能リストのページには、いくつかの操作上の変更が告げられている。膨大な新機能リストの最後に用意されたその他の項目に「iPad gestures」という項目があるのだ。

ここでは、iPadについて、より簡単なジェスチャーが利用できるとして、ホームスクリーンの表示は画面下部から上へのスワイプ、コントロールセンターは右上から下へのスワイプ操作となる、と説明されている。

これらのジェスチャーは、ホームボタンがなくなったiPhone Xと共通のものだ。実機を触ったわけではないが、おそらくホームスクリーンを表示させるジェスチャーの動きを途中で止めれば、アプリ切り替えの画面が表示されるだろうことは想像に難くない。

これまで、アプリ切り替え画面に用意されていたコントロールセンターには前述のように新たなジェスチャーが採用され、アプリ切り替え画面からは取り除かれるようだ。

iPhone 8以前のモデルでは、iPhone Xの新しい操作方法は利用できない。しかしiPad Proなどの現状ホームボタンが搭載されているモデルでは、iPadの新しいジェスチャーが利用可能となる。それがつまり、ホームボタンなしのiPadの登場に直結するとは判断つきかねるが、ホームボタンがなくても困らない操作方法を導入したのだけはハッキリしている。