生産拠点において重要なのは、QCD(クオリティ、コスト、デリバリー)の徹底した追求だ。富士通アイソテックでも、QCDを継続的な重点テーマに位置づけて、日々向上に向けた取り組みを進めている。
ただ、この3つの観点からいえば、国内生産体制を持つ富士通アイソテックでは、クオリティやデリバリーでは優位性を発揮しやすいといえる。だが、課題はコスト競争力の維持ということになるだろう。
コスト競争力を伸ばす取り組み
そのひとつの取り組みとして、いま進めているのが、混流生産ラインの見直しだ。
現在、富士通アイソテックでは、PC生産用として、6つのラインを稼働させている。これに、サーバーの生産ラインの一部を活用することで、PCの増産にも対応できるようにしている。
ここ数年、富士通アイソテックが追求してきたのが、混流ラインの強化だった。ひとつの生産ラインで、様々な機種を作ることで、機種ごとの需要変動にも柔軟に対応することを目指した。だが、その一方で、生産性が犠牲になるという課題が発生していた。
そこで、ひとつの生産ラインで作る機種をある程度絞り込むとともに、組み立てに関わる人員を半減。これによって、生産性を向上させることに成功したという。
主力となるAラインでは、約10機種の混流生産としていたものを、4機種に絞り込み、さらに、18人で生産していたものを9人体制で生産するようにした。
さらに、2016年度から採用している工程管理システム「FIT FINE」では、組み立てするそれぞれの機種の作業量を計算して、ライン投入時に、タクトタイムにあわせた組み合わせを自動的に算出。効率的な作業が行えるような仕組みを導入している。
「生産性の効率化は、コスト削減に直結する。コスト競争力の強化に向けた取り組みは重点課題のひとつとして取り組んでいく」(富士通アイソテックの鈴井統括部長)とする。
ノウハウ継承、高齢化もプラス要素へ
一方で、富士通アイソテックは、平均年齢が49.6歳という高齢化が課題だというが、「経験者が多く、そのノウハウを活用できるという強みにつなげていきたい」(富士通アイソテックの佐藤執行役員)とする。課題をプラス要素に変える意識も強い。
富士通アイソテックと、FCCLの関係は変わらないというのが、現在のスタンスだ。だが、この関係を維持するには、富士通アイソテックが変わっていく必要があるといえそうだ。柔軟性を高め、スヒードや準備力を強化。コスト削減にも積極的に取り組む必要がある。
そこに富士通アイソテックの挑戦がある。