LINEで「クラウン」と“ともだち”に

社会とつながる部分では、2011年の東日本大震災で初めて提供し、先月の大阪北部地震でも展開した「通れた道マップ」がある。DCM搭載車両などから収集した情報に基づく通行実績をウェブサイトで無料公開したもので、直近約24時間の通行実績情報が1時間ごとに更新されるので、災害地域での移動に役立てることができる。

もうひとつ、クラウンのコネクティッドサービスで注目したいのは「LINEマイカーアカウント」だ。自分のクルマを“ともだち”として追加し、ナビの目的地登録やガソリンの残量、天気予報の確認などが可能になるというものだ。

プリウスPHVではLINEを含めたSNSに全く対応しておらず、残念に感じた記憶がある。今回も、家族や友人からのメッセージがディスプレイ上に表示されたりはしないようだ。ユーザーの若返りを目指しているのであれば、もちろん安全性は担保したうえで、より積極的な対応を望みたい。

  • LINEとクラウンの連携

    LINEでクルマと“ともだち”になれるのは面白いが、更に踏み込んだサービス提供にも期待したい(画像提供:トヨタ自動車)

AI導入もオペレーターは残すトヨタの判断

一方で感心したのは、プリウスPHVの取材時に開発担当者から聞かれた「最後は人」というメッセージが、新型クラウンにも受け継がれていることだ。トヨタでも、他のブランドと同じ人工知能(AI)を用いた応答は「エージェント」として用意しているが、それだけでなく、オペレーターが対応するサービスも継承している。

新型クラウンが、依然として年齢層の高いドライバーを想定しているからではない。20~30歳代のユーザーを想定したというカローラスポーツでも、同じようなサービスを展開している。つまり、これがトヨタらしさなのではないかと筆者は感じた。今後、さまざまなブランドがコネクティッド分野を進化させていくだろう。その際にトヨタの「最後は人」という考え方は、強みになるのではないだろうか。