Firefox 61の新機能

Firefox 61の新機能であるが、以下の通りである。

  • 以下のパフォーマンスの強化が図られた
    --Quantum CSSの改良により、新しい表示リストを保存し、ページレンダリングが高速化
    --WindowsとLinuxでのタブ間の切り替えの高速化
    --macOS:WebExtensionsが独自のプロセスで実行されるように
  • より多くの検索エンジンへのアクセスが可能に:OpenSearchプラグインを提供するWebページ上のページアクションメニューから検索バーを使用して検索エンジンを追加可能に
  • macOSでFirefoxからのリンクを簡単に共有可能に:アドレスバーのページアクションメニューからアクティブなタブのURLを共有可能に
  • セキュリティの向上
    --デフォルトで、TLS 1.3仕様の最新ドラフトをサポート
    --httpページのFTPサブリソースへのアクセスがブロック
  • より一貫したユーザーエクスペリエンスの提供:ダークテーマが、すべてのFirefoxユーザーインターフェイスでサポートされるよう改善
  • タブ管理のカスタマイズ:WebExtensionsでタブを非表示にするためのサポートが追加
  • ブックマークの同期が改善
  • セキュリティアップデート

今回のバージョンアップでは、パフォーマンスの改善など、着実に完成度を高めているともいえる。Quantum CSSの改善では、スタイルシートの解析処理が並列で行われる。結果、CPUリソースのさらなる有効活用が可能となった。また、表示リスト(描画開始前に画面に表示する要素を決定してリスト化したもの)をなるべく再利用するようにした。これまでは、画面を切り替えるたびに、表示リストを一から作成し直していた。この作業で再利用を行うことで、再計算量が減少しドロップフレームが40%程度削減されるという。

WindowsとLinuxでは、タブの選択を行う際にその内容を先読みするTab Warmingが導入された。タブの切り替えの際には、表示時間の削減が期待できる。

macOSではWebExtensionsが独自のプロセスとなり、実行速度の向上が期待できる。

また、ユーザー(アドオン作者など)からの要望が多かったのが、タブを非表示にする機能である。WebExtensionsになってから、タブ関連のアドオンでの動作での希望する声が多かったものだ。Firefox 59では、試験的に導入されていたがFirefox 61において、正式度導入となった。Mozillaでは、こういったユーザーから要望にも対応することで、アドオンの充実やユーザーの拡大を目標としているようである。

検索エンジンの追加であるが、閲覧中のWebサイトがOpenSearchプラグインに対応している場合、簡単に行えるようになった。閲覧中に[…]ボタンをクリックし、[検索エンジンを追加]を選ぶ。

  • 図5 検索エンジンを追加

検索を行うと、追加された検索エンジンがボタンで配置されている。

  • 図6 追加された検索エンジン

また、変更点として、ホームページと新しいタブページをカスタマイズするための設定が可能となった。オプションメニューの[ホーム]が追加された。

  • 図7 ホームの設定画面

もしくは、新しいタブページの右上にある設定(歯車)ボタンからアクセス可能である。

  • 図8 新しいタブページ

セキュリティアップデートは19件あり、最高が7件、高が5件、中が6件、低が1件となっている。

また、Web開発者ツールには、アクセシビリティをチェックするツールが追加されたデフォルトでは、表示されないので、表示方法を紹介しよう。まず、バーガーボタンから、[ウェブ開発]→[開発ツールを表示]を選ぶ。ウィンドウ下に開発用のペインが表示されるので、[…]ボタンをクリックする。設定画面となる。

  • 図9 設定画面を表示

ここで、[標準の開発ツール]にある[アクセシビリティ]にチェックを入れる。実際には、図10のようになる。

  • 図10 アクセシビリティのチェック

Firefox Quantumとなってから5回目のメジャーリリースとなる。UIなどで大きな変更はなされていない。前述したように、完成度を上げているという印象である。Quantumプロジェクトは、次期バージョンのFirefox 62まで継続の予定である。その後のロードマップなどについても、情報が入り次第紹介したい。