2018春ドラマ18作採点! なぜ『おっさんずラブ』『モンクリ』熱狂的支持?

※ドラマの結末などネタバレを含んだ内容です。これから視聴予定の方はご注意ください。

■『コンフィデンスマンJP』　月曜21時～　フジテレビ系

出演者：長澤まさみ、東出昌大、小日向文世ほか
寸評：アニメを思わせる破天荒な展開は、ありそうでなかった新機軸。時系列のない自由さも含め、業界に向けた新提案になったのではないか。古沢良太らしい伏線と遊び心は健在で、最終話の“エピソード0”も決まった。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆☆】

■『ヘッドハンター』　月曜22時～　テレビ東京系

出演者：江口洋介、小池栄子、杉本哲太ほか
寸評：新枠らしい力作で、すべてのエピソードが繊細かつ濃厚。けれんみや脱力に逃げることなく、ビジネスと人間心理を丁寧に紡ぐスタッフの仕事が光った。週替わりゲストの演技力を引き出すスタイルは継続を希望したい。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆☆】

■『シグナル 長期未解決事件捜査班』　火曜21時～　フジテレビ系

出演者：坂口健太郎、北村一輝、吉瀬美智子ほか
寸評：色味の濃い映像美がサスペンスを深め、最後までスリリングな世界観を創出。刑事モノながら脱一話完結を目指すなど、随所に挑戦が見られた。坂口と北村の熱演があった反面、あえて選んだあいまいな結末が悔やまれる。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆☆】

■『花のち晴れ～花男Next Season～』　火曜22時～　TBS系

出演者：杉咲花、平野紫耀、中川大志ほか
寸評：単に『花より男子』の世界観を踏襲しただけでなく、女性同士の友情など新たな魅力も加わり、やり切ったという印象。それだけに続編ありきのラストシーンは疑問が残る。盛り上がりが限定的なのは視聴者嗜好の変化か。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆　視聴率☆　総合☆】

■『正義のセ』　水曜22時～　日本テレビ系

出演者：吉高由里子、安田顕、三浦翔平ほか
寸評：ヒロインは今どき珍しいほど、清く正しい正義の味方。事件の展開と結末は直球ばかりで、変化球は投げず。裁判シーンがない、泣き落としで自白を得るなどの疑問点も多い。安田の存在感が作品の質を担保していた。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆☆　総合☆】

■『未解決の女 警視庁文書捜査官』　木曜21時～　テレビ朝日系

出演者：波瑠、鈴木京香、沢村一樹ほか
寸評：典型的な体育会系と文化系のダブルヒロインはキャラが立ち、ファンも獲得。文書に関わる捜査に物足りなさもあったが、芸達者な助演たちがフォローしていた。テレ朝に唯一欠けていた“女刑事シリーズ”の誕生か。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆☆☆　総合☆☆】

■『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』　木曜22時～　フジテレビ系

出演者：ディーン・フジオカ、大倉忠義、山本美月ほか
寸評：90年代のジェットコースタードラマを思わせる、濃密な人間関係と目まぐるしくも残酷な復讐劇。人物によって異なる「愛は勝つ」の意味を問うような最終話は圧巻だった。脚本・演出・演技のすべてが尻上がりの快作。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆☆】

■『ラブリラン』　木曜23時59分～　日本テレビ系

出演者：中村アン、古川雄輝、大谷亮平ほか
寸評：メイン3人が体温の伝わりにくい演技だったからか、ラブストーリーにも関わらず、遠い世界の話に。思いがこみ上げるシーンで視聴者を引きつけられず、最後は「3か月間の記憶喪失」の理由に拍子抜けしてしまった。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆　視聴率☆　総合☆】

■『執事 西園寺の名推理』　金曜20時～ テレビ東京系

出演者：上川隆也、佐藤二朗、八千草薫ほか
寸評：完璧な西園寺の仕事ぶりを楽しむ作品だが、執事ならではの事件解決があまり見られなかったのは残念。当枠はシンプルな展開がマストだけに、多くを望めないのは織り込み済みだが、その分キャストがカバーしている。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆】

■『デイジー・ラック』　金曜22時～ NHK

出演者：佐々木希、夏菜、徳永えりほか
寸評：「それぞれの生き方がある」のコンセプトや、プロポーズされて「痛い、夢じゃない」と確認するシーンなど前時代的な筋書きに終始。ゆるくて軽いムードの作品はアリでも、演技トーンがバラバラはナシ。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆　視聴率☆　総合☆】

■『あなたには帰る家がある』　金曜22時～　TBS系

出演者：中谷美紀、玉木宏、木村多江ほか
寸評：短所をはっきり見せる脚本・演出も、キャストの演技もバシッとはまった。メイン4人だけで最後まで視聴者を引きつけたのは立派だが、2組のカップルを描いた作品としては『最高の離婚』の完成度に遠い。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『家政夫のミタゾノ』　金曜23時15分～　テレビ朝日系

出演者：松岡昌宏、剛力彩芽、余貴美子ほか
寸評：ミタゾノのキャラや豆知識など、作品の安定感は十分。ただ脚本はメインの八津弘幸こそ「さすが」だが、バラつきが気になった。もっとぶっ飛んだ悪を設定したり、パロディを詰め込んだりなど、突き抜けた感がほしい。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』　土曜20時15分～　NHK

出演者：神木隆之介、田辺誠一、南果歩ほか
寸評：「モンペ」の描写に賛否はあれど、NHKらしく攻めていたのは明白。神木が「弁は冴えるが、人間的には未熟な主人公」を好演していた。一定以上の質はあったが、「30分×6話の制作」は受信料の費用対効果として不十分か。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』　土曜22時～　日本テレビ系

出演者：菜々緒、佐藤勝利、木村佳乃ほか
寸評：悪女を売りにしながらも、初回冒頭からトラウマの描写を見せるなど、「いい人では?」のフラグが随所に。お約束の蹴りも含めて、制作側が自らスケールダウンさせた感が強い。結末まで視聴者の予想通りだったのではないか。
採点：【脚本☆　演出☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆】

■『おっさんずラブ』　土曜23時15分～　テレビ朝日系

出演者：田中圭、林遣都、吉田鋼太郎ほか
寸評：「おっさん同士の純愛」という出落ち必至の企画ながら、丁寧なストーリーテリングと、てらいのない演出で、感情移入できる名作に昇華。SNSの反響狙いでトゥーマッチな作品が多い中、絶妙なバランス感覚を見せた。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆☆】

■『いつまでも白い羽根』　土曜23時40分～　フジテレビ系

出演者：新川優愛、伊藤沙莉、加藤雅也ほか
寸評：序盤は看護学校の世界をリアルに描き、ヒロインのフラットな人物像も時代にフィット。期待を持たせたが、徐々にトーンダウン。「同期が退学と交通事故死する中、ヒロインが一人だけ看護師になる」という結末は強引だった。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『ブラックペアン』　日曜21時～　TBS系

出演者：二宮和也、竹内涼真、内野聖陽ほか
寸評：“痛快時代劇”以上のワンパターンな展開は、『ドクターX』の代替品を見るようだったが、終盤に一変。ブラックペアンの謎をめぐるミステリーと、主人公の復讐劇で盛り上がり、「終わり良ければすべて良し」の好例に。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆☆☆　総合☆☆】

■『崖っぷちホテル!』　日曜22時30分～　日本テレビ系

出演者：岩田剛典、戸田恵梨香、浜辺美波ほか
寸評：ゆるいムードの中に仕事への情熱がチラリ。ただ、癒しに偏った作風が災いしてか、『王様のレストラン』『高原へいらっしゃい』の名作は遥か遠くに。感動を強制するような涙、涙の最終話は、若年層向けなのだろうか。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆　視聴率☆　総合☆】