通勤やスポーツシーンで大活躍している完全ワイヤレスイヤホンですが、スマホや音楽プレーヤーとワイヤレスで接続するだけでなく、左右のイヤホンすらケーブルでつながれていないため、便利な反面、紛失してしまう危険性が高いのも特徴のひとつ。いつの間にか右耳のイヤホンだけ一人旅にでかけてしまったり、なぜだか充電ケースだけ謎の失踪を遂げたりと、ユーザーにとって思考回路はショート寸前ですよね。
万が一、そんな事態に陥ったときにはどうしたらいいのか? イヤホンの片側だけ、ケースだけ入手することは可能なのか、非常に気になるところ。そこで、各メーカーのサポートに問い合わせてみました。
片側だけフリマアプリで落札するのはダメ!
メーカーのサポートを受ける前に、フリマアプリやネットオークションで片側だけ安く入手しようと考える人もいるでしょう。ですが完全ワイヤレスイヤホンの仕組みからして、ネットオークションやフリマアプリで片側だけ購入しても意味がないなのです。仕組みをかんたんに説明しますね。
完全ワイヤレスイヤホンは文字通り、スマホや音楽プレーヤーとワイヤレスで接続するだけでなく、左右のイヤホンも完全に独立しています。しかし音楽プレーヤーにはあくまで1台のイヤホンとして認識され、ペアリングされています。これは、イヤホンのどちらか一方が「親機」として音楽プレーヤーとペアリングされ、もう一方のイヤホンは「子機」として親機とひも付けられているからです。
要するに完全ワイヤレスイヤホンは左右でつがいとなっているので、たとえば完全ワイヤレスイヤホンの右側を紛失したからといって、ヤフオクやメルカリでなくした右側だけを入手して、残った左側と組み合わせても使用できませんのでご注意ください。
各メーカーに聞いてみた
片側だけ紛失してしまった完全ワイヤレスイヤホンをまた使いたいなら、メーカーのサポートに頼るのが一番。そこで、各メーカーのサポートに対応を聞いてみました。
すると調査したほぼすべてのメーカーで、残ったほうのイヤホンをメーカーに送る必要がありました。場合によっては充電ケースや付属品も一緒に送らなくてはなりません。これは出荷時と同様に、左右のイヤホンをペアリング済みの状態にしてユーザーに返却する「修理扱い」となるためです。
Apple「AirPods」
- 申込方法 : サポートに連絡しApple Storeの来店予約
- メーカーに送るもの : 残ったほうのイヤホン、ケース
- 料金 : 7,800円(税別)
- 送料 : ー
- 支払い方法 : 店舗にて現金・カード決済
AirPods自体の直販価格は16,800円(税別)。直接Apple Storeに出向いてもOKですが、在庫がないと預かりになる場合も。また、Apple Store以外でもApple特約店であれば対応可の場合もアリ。
オンキヨー「W800BT」
- 申込方法 : サポートへ電話
- メーカーに送るもの : 残ったほうのイヤホン
- 料金 : 15,768円(税込)
- 送料 : 代引き手数料とともに料金に含まれる(メーカーへの送料は別途必要)
- 支払い方法 : 代引き
W800BTは実勢価格が1万円前後となっており(Amazon.co.jpでの販売価格は税込9,980円でした)、新品を購入したほうがおトクな状況です。
JVCケンウッド「HA-ET900BT」
- 申込方法 : サポートへ電話
- メーカーに送るもの : 残ったほうのイヤホン、ケース
- 料金 : 8,600円(税込)
- 送料 : 1,620円(税込・代引き手数料込、メーカーへの送料は別途必要)
- 支払い方法 : 代引き
HA-ET900BTの直販価格は14,472円(税込)です。ケースは動作確認のために必要とのこと。ただし、HA-ET900BTのユーザーは購入から1年の間に1度だけ、東京海上日動火災保険の動産総合保険サービスを受けられます。イヤホンを片側だけなくした場合や、両耳とも壊してしまった場合、5,000円を支払えば新品と交換できます。
ソニー「WF-1000X」
- 申込方法 : サポートへ電話、もしくは購入店への持ち込み
- メーカーに送るもの : 残ったほうのイヤホン、ケースに加えて付属品一式(持ち込みも同じ)
- 料金 : 見積もり
- 送料 : 往復ともにユーザー負担(メーカー直の場合)
- 支払い方法 : 代引き(メーカー直の場合)
WF-1000Xの直販価格は22,880円(税別)。メーカーサポートによると「片側をなくしただけでも修理扱いとなり、要見積もり」とのことで、付属品などをすべて送らないと正確な修理代金は判明しません。仮に修理しなかったとしても、往復の送料はユーザー負担となります。
ソニーモバイル「Xperia Ear Duo」
- 申込方法 : サポートへ電話
- メーカーに送るもの : 残ったほうのイヤホン、ケースに加えて付属品一式
- 料金 : 見積もり
- 送料 : 往復ともユーザー負担
- 支払い方法 : 代引き
Xperia Ear Duoの直販価格は29,880円(税別)。ソニーの「WF-1000X」と同様、片側でも修理扱いとなるため、付属品などをすべて送ったあと見積もり費用が送られます。
ソフトバンク コマース&サービス「Sound Air TW-5000」
- 申込方法 : ソフトバンク コマース&サービスのWebサイトからサポート申込
- メーカーに送るもの : なし
- 料金 : 5,500円(税込)
- 送料 : メーカー負担
- 支払い方法 : クレジットカード、代引き、ソフトバンクまとめて支払い
Sound Air TW-5000の直販価格は9,860円(税込)。ソフトバンク コマース&サービスは2018年7月2日から、「Sound Air TW-5000」のサポートサービスを開始します。7月2日まではSound Air TW-5000を片側だけ紛失したら新品を買いなおすしかないので、ユーザーにとっては朗報といえそうです。SoftBank SELECTIONオンラインショップで、左右のイヤホン本体を「交換用本体」という名称で販売します。
パイオニア「C8 truly wireless」
- 申込方法 : サポートへ電話
- メーカーに送るもの : 残ったほうのイヤホン
- 料金 : 6,300円(税別)+診断料2,000円(税別)
- 送料 : 1,600円(税別・代引き手数料込、メーカーへの送料は別途必要)
- 支払い方法 : 代引き
C8 truly wirelessの直販価格は16,070円(税込)。パイオニアは2018年9月末まで、診断料と返送料が無料になるキャンペーンを実施しています。
Bose「SoundSport Free wireless headphones」
- 申込方法 : サポートへ電話
- メーカーに送るもの : 残ったほうのイヤホン、ケース
- 料金 : 20,000円(税別)
- 送料 : 代引き手数料とともに料金に含まれる(メーカーへの送料は別途必要)
- 支払い方法 : 代引き
実勢価格が3万円前後なので、2万円の修理料金は微妙なところ。
以上のように、調査したほぼすべてのメーカーで残ったほうのイヤホンを送る必要がありました。これは前述の通り、完全ワイヤレスイヤホンは左右でワンセットになっているため、片側だけ購入しても使用できないためです。ただし、メーカーのサポートでは、なくした側のイヤホンだけを新品にして、残ったイヤホンとペアリングするのではなく、両方とも新品にしてユーザーに戻すのが実情のようです。
これは、何十万円もする高級イヤホンならともかく、実勢価格で数万円の完全ワイヤレスイヤホンであれば、修理するよりも新品交換したほうがコスト的に見合うからだそう(メーカーによって対応は異なります)。
ということで、今回調査したメーカーに限らず、完全ワイヤレスイヤホンの片側だけなくした場合はまずメーカーのサポートに電話して、詳細な料金を問い合わせるのがよいでしょう。間違っても、ネットオークションなどで片側だけ購入しようと考えてはいけません。