ミラ トコットのキーワードは、肩肘はらず、自然体でいられるという意味で「エフォートレス」としたそう。開発にあたり中島CEは、女性が安心して運転できるようさまざまな部分に気を配り、初めてクルマを購入する女性にも無理のない価格設定を目指したそうだ。
3つの安心にこだわったクルマづくり
クルマに乗る女性からは、必要に迫られて毎日のように運転しているが「怖い」との声をよく聞くという中島CE。ミラ トコットでは、「座って安心」「乗って安心」「もしもの時に安心」の3点にこだわったという。
「座って安心」でこだわったのは運転のしやすさだ。水平基調のレイアウト、少し(垂直方向に)立ったフロントピラー(フロントウィンドウとサイドの間の柱)、しっかりと正面を向いたヘッドランプなどが特徴だという。運転する時にはボンネットの先端が見やすく、車両感覚がつかみやすいそうだ。
「走って安心」については、軽自動車で初めて「パノラマモニター」と「コーナーセンサー」の双方を搭載。つまり、駐車時やすれ違い時には、モニターでクルマを上から見たような画像を確認できて、センサーで障害物を検知できるということだ。女性に訴求しているだけあり、ステアリングは徹底的に軽さにこだわっているという。
「もしもの時に安心」という面では、ステレオカメラを用いた衝突回避支援システム「スマートアシストⅢ」を装備した。衝突警報、緊急ブレーキ、車線逸脱警報、誤発進抑制制御などの機能がミラ トコットの安全性向上に寄与する。安全面で特筆すべきは、軽自動車で初めて「サイドエアバッグ」と「カーテンシールドエアバッグ」が全グレードで標準装備となっている点だろう。
男性が乗ってもおかしくないところも魅力か
気になる価格は、税込みで107万4,600円~142万5,600円から。同社の軽自動車「ミラ イース」と比べると、だいたい10数万円は高い印象だが、中島CEは「サイドエアバッグが全グレードでついていたりするので、中身を考えると10万円を余計にもらえるネタはしっかり入っている」とする。月間販売目標は3,000台だ。
では、実際のところ、若年女性市場には開拓の余地があるのだろうか。「まだまだ開拓できる」と話す中島CEは、「若い女性・新卒女性の平均年収を調べると、正規雇用率が下がっているので、平均すると落ちてきている。それなのにダイハツは、わざわざ高いクルマを続けてきた格好になっているので、価格にこだわってクルマづくりをしたいと考えた」とし、価格面でも若年女性に訴求できるとの認識を示した。
日本全国でいくと、都道府県の半分近くで軽自動車比率が5割を超えるか、それに近い水準らしい。ミラ トコットが都会よりも圧倒的に地方で売れると見る中島CEは、「高校を卒業し、大学に行きたいが電車では遠いところが結構ある」のが地方の現状であり、そういうところだと「家に行くとまず大きめの輸入車があって、大きなワゴンがあって、あとは『軽』が止まっていて、それと『ハイゼット』みたいなパターンが多い」とする。その軽自動車需要を狙うのがミラ トコットだ。
そういう家では結局、軽自動車がファーストカーの地位を占めることになりがちだそう。輸入車やワゴンは家族で遠出する時に乗って、その他のケースは軽で済ませるという家族は確かに多そうだ。家族全員で運転することを考えると、ミラ トコットのシンプルさは強みになるし、例え男性であったとしても、オシャレに乗れそうなところも魅力の1つといえるだろう。