わずか10年の間に世界は一変する
休憩をはさんだのち、続いてパネルディスカッションが展開された。まず伊藤氏は、いくつかの風景写真を年代別に映し出して「10年経てば世界の光景は一変する」と参加者に伝える。2005年と2013年のローマ法王謁見の様子を捉えた写真が分かりやすい例だ。「この8年の間に何があったか、2007年にiPhoneが発売されました」10年もしないうちに、スマートフォンは世界を大きく変えた。
「10年前はFacebookなんてやってませんでしたよね。Instagramなんて存在していませんでしたし、Airbnbやシェアサイクルなんてものもなかった。そしていま世界を変えようとしているのが、IoE(Internet of Everything)です。すべてのものがインターネットにつながります」(伊藤氏)。
伊藤氏は、実際に現段階で起こっていることとして家庭だけでなく農業、工業分野でも使われ始めたIoT機器、人の健康状態を知ることができるウェアラブルデバイス、決済を大きく変えるモバイルペイメント、普及が進むスマートスピーカーなどの例を挙げる。そしてIoEによって得られたデータによってAIが大きく発展していだろうと、今後起こり得る変化について説明した。
「世界は今、大きく変わるとき。IoE、IoTを活かせる人が降盛するし、活かせない人が衰退するでしょう。日本の推計人口は減少の一途をたどります。そんな中、日本人が儲けるには新しいことを目指して踏み出すしかないんですね。失敗しても何回もやればいい。失敗しないとわからないことがたくさんあります」(伊藤氏)。
同時に何回かはやり直せるくらいの経済力はあったほうが良いとも述べる。しっかりお金を貯めておけば、チャレンジできる回数が増えるという事だ。「起業を目指す皆さんには、踏み出せるだけのお金は最低限貯めておけよ、とアドバイスしたいです」と伊藤氏はまとめた。
なにかに挑戦したい人は起業しないと後悔する
こうしてヒートアップしたパネルディスカッションは、伊藤氏と室岡氏の対談へと移行。それぞれのバックグラウンドを元に、起業家がもつべき好奇心、ポジティブとネガティブの切り替え方、起業家の心得などが語られたのち、ボーンレックスの起業家創出プログラムの紹介と、参加者の交流会をもって特別セミナーは幕を閉じた。
最後に、室岡氏、伊藤氏から起業を目指す人に向けて語られたメッセ一ジを紹介しておこう。
「起業を目指す人に留意してもらいたいことが1つあります。起業家は考えることがたくさんありますが、頭の中が一杯になっているとなにもできなくなってしまいますから、常にシンプルにしておくことが大事です。さまざまなストレスも発生すると思いますが、『何とかなる』『何とかできる」という感覚を持っておきましょう。そうすればお金などに捕らわれることなく、心の中をクリアにすることができます」(室岡氏)。
「チャレンジすることの意義とは何だろうとずっと考えてきましたが、とどのつまりは、『なにかに挑戦したい』『なにかを打ち立てたい』なら、やらないと後悔するからなんですね。チャレンジすることが自分の幸せにつながらないのならやらない方が良いんです。 私は事業が楽しいと思えるし、やっていることがやっぱり幸せなんですよ」(伊藤氏)。