iPhoneの音声認識というとSiriがありますが、VoiceOverはそれを視覚障がい者向けに拡張したような、iOS標準の読み上げ機能です。VoiceOverを設定でオンにすると、たとえば指でアイコンをタッチすればアプリ名を音声で読み上げ、ステータスバーの時刻や電池残量も、触れば音声で案内されます。一方で、アプリを開くにはダブルタップ(シングルタップだとVoiceOverの読み上げになるため)と、通常の操作よりは工程が増えます。
VoiceOverでは、着信した電話に応答するには2本指でダブルタップするなど、新たに覚えるべきお作法があります。そこは、誰かに教えてもらうか、Webなどで調べるしかありません。とはいえ、メールやSNS、Webなどの文字情報はすべて読み上げてくれますから、情報を得るという意味での不便さはかなり解消されました。入院中もFacebookはずっと読んでいましたし(正確には、読み上げてもらった、ですが)。多くの人に心配をかけるのは申し訳なかったので、投稿はしませんでしたけどね。
「Siriの音声入力→メモ書き」がはかどった!
それでも、連絡を取るべき仕事関係の人や家族とは、SNSやLINE、メールといった手段で最低限のやりとりはしていました。VoiceOverにした場合のフリック入力に慣れなかったので、Siriの音声入力に頼ることがほとんどでした。
目で確認できないせいもありますが、この音声入力がまた誤変換が多め(笑)。入院中に思いついた仕事上のアイデアや、「今日初めてスカイツリーが見えた」なんていう病状改善日記も、音声入力でメモアプリに記録していたのですが、後から読み返すと意味不明なメモも多数。ボイスメモなら声をそのまま録音できますが、聞き返すまで内容がわからないので、それぞれ一長一短ですね。
便利だったのは、LINEで音声を録音して送信する機能「ボイスメッセージ」です。これなら誤変換なく、留守番電話のような感覚で正確に用件が伝えられます。ただ、受信した方は再生する手間があり、場所によっては再生しづらいでしょうけど。
VoiceOverによって、かなり助けられた入院生活ですが、スマホでいちばん便利だなと思った機能は、まさかの「音声通話」です。入院前は、電話よりメール、メッセンジャー派でした。電話は人の時間を奪うから悪、ぐらいの考えでした。しかし、目が悪いと改めて音声通話の楽さを実感します。誤変換はないし、キーボードも打たなくていいし、細かいニュアンスは伝わるし、入院中はヒマだし……。音声通話なら、家族や友達がリアルSiriです。相手の迷惑を考えなければ電話サイコー。もう入院中にキャリアに電話して、音声通話のプランをかけ放題に変更したぐらいです。