私が実見した範囲であるが、京王ライナーへの出足は相当に早い。新宿駅で観察していると、発車時刻の1時間前には、自動券売機で座席指定券購入をする利用客が次々に現れる。

想像してみるに、新宿は東京随一の商業エリアである。京王新宿駅の真上には京王百貨店もある。座席指定券を確保しておけば、安心して発車時刻まで買い物、あるいは食事などをすることができる。そのせいか、券売機に列を作る客層には、女性客や若者が目立つ。 20時発の京王八王子行きは、発車5分前には満席の旨、放送が流れた。乗り込んだ客にはビジネスパーソン風も多い。彼ら彼女らは、退社時刻が見えれば、職場からスマートフォンなどを使って、すぐネット予約していることだろう。

  • 左:新宿駅に入線してきた、京王八王子行き京王ライナー。右:京王ライナーの人気は高く、発車間際には満席になることが多い

完全に利用客の間で定着

続く、20時30分発の橋本行きに試乗してみた。乗車ホームには、直近の発車列車のみ座席指定券が買える自動券売機もあるが、20時17分にはもう「満席となりました」との表示が出た。

乗車する時も、まだ若干の混乱は見られるものの、ほとんどの人が自分の座席を確認し、座る手順はスムーズ。それも「慣れ」の表れである。

心配するほどのことはなく、わずか数カ月で、京王ライナーは京王利用客の間で順調に定着した様子が、十分にうかがえた。寝込んでしまった、まだ小さなわが子を抱き、スマートフォンの画面をちらりと確認しながら自席に座った若い父親の姿が、象徴的だった。