キャンピングカー仕様に必須のキッチンは、規程の広さを確保すると共に、「キッチンといえばタイル」というイメージからタイル張りの作業が加わった。また、水道においても、自家製スイッチでタンクから水を吸い込む蛇口を作るなど、こだわりは止まらない。「実際、あまり料理はしない」とのことだが、仕事の小休止に欠かせない一杯も、このキッチンで作れば一層おいしいだろう。
バスの塗装は当初、業者にお願いしようとしていたものの、見積もりで30万円と言われ、「だったら自分たちでやってみよう」ということに。デザインそのものは、「ON THE TRIP」のガイドの表紙デザインなども手がけるデザイナーにお願いし、養成シールやヤスリ、塗装スプレー等はホームセンターで調達。結果、3万円で完成した。
オフィスたるもの自給自足の電力を
実際、バス作りにかかった費用は約140万円だったが、実はその約118万円は電気まわりにかかったという。「パソコンやプロジェクターや冷暖房等をまかなえるだけの電力」としてソーラー発電を構想したものの、そもそもソーラーパネルやリチウム電池がどこで買えるのかも分からない。
そこで、業者に手当たり次第電話をし、配線等プロの技術を要するところは業者にお願いした。バスのトップには巨大な薄型ソーラーパネルが取り付けられているのだが、接着には両面テープが使用されている。
1日の消費電力量を算出したところ2,230Wとなったため、雨の日は発電できないこと等を加味し、1日の消費電力量の3倍(2,230W×3)である6,690Wを発電できるサブバッテリー(リチウム電池)を選択。結果から言うと"パワーがありすぎる"環境らしく、ほぼ常時、充電率100%とのこと。「スマホの充電スポットとか、『あなたに電気をお届けします』みたいなこともできたらいいな」と志賀氏は話す。
結果、2016年12月から2017年6月までの約半年、時にはプロの手も借りつつも、基本的には自分たちの手で、バスは「ON THE TRIP」を象徴する"メンバー"となった。
では実際、バスライフ&オフィスはどんなものだろうか。今度は、バスでの過ごし方を聞いてみた。