キャンピングカー仕様に必須のキッチンは、規程の広さを確保すると共に、「キッチンといえばタイル」というイメージからタイル張りの作業が加わった。また、水道においても、自家製スイッチでタンクから水を吸い込む蛇口を作るなど、こだわりは止まらない。「実際、あまり料理はしない」とのことだが、仕事の小休止に欠かせない一杯も、このキッチンで作れば一層おいしいだろう。

  • キッチンの壁にはタイルを

    キッチンの壁にはタイルを

  • キッチン台をシンクに合わせてくり抜く

    キッチン台をシンクに合わせてくり抜く

  • 水道を通してキッチンが完成。ちなみに、キッチンの下に収納できる棚も作ったようだ

    水道を通してキッチンが完成。ちなみに、キッチンの下に収納できる棚も作ったようだ

バスの塗装は当初、業者にお願いしようとしていたものの、見積もりで30万円と言われ、「だったら自分たちでやってみよう」ということに。デザインそのものは、「ON THE TRIP」のガイドの表紙デザインなども手がけるデザイナーにお願いし、養成シールやヤスリ、塗装スプレー等はホームセンターで調達。結果、3万円で完成した。

  • 塗装の前に、養生シールを貼り、ヤスリで磨いて下地を整える

    塗装の前に、養生シールを貼り、ヤスリで磨いて下地を整える

  • 黒スプレー(マットブラック)25本で、バスは味わいのあるマットブラック色に染まった。その上に、「ON THE TRIP」のロゴシールを貼った

    黒スプレー(マットブラック)25本で、バスは味わいのあるマットブラック色に染まった。その上に、「ON THE TRIP」のロゴシールを貼った

オフィスたるもの自給自足の電力を

実際、バス作りにかかった費用は約140万円だったが、実はその約118万円は電気まわりにかかったという。「パソコンやプロジェクターや冷暖房等をまかなえるだけの電力」としてソーラー発電を構想したものの、そもそもソーラーパネルやリチウム電池がどこで買えるのかも分からない。

そこで、業者に手当たり次第電話をし、配線等プロの技術を要するところは業者にお願いした。バスのトップには巨大な薄型ソーラーパネルが取り付けられているのだが、接着には両面テープが使用されている。

  • 薄型ソーラーパネルも自力で業者を探し出し、1枚9万円で購入。意外だが、両面テープで接着できるようだ

    薄型ソーラーパネルも自力で業者を探し出し、1枚9万円で購入。意外だが、両面テープで接着できるようだ

1日の消費電力量を算出したところ2,230Wとなったため、雨の日は発電できないこと等を加味し、1日の消費電力量の3倍(2,230W×3)である6,690Wを発電できるサブバッテリー(リチウム電池)を選択。結果から言うと"パワーがありすぎる"環境らしく、ほぼ常時、充電率100%とのこと。「スマホの充電スポットとか、『あなたに電気をお届けします』みたいなこともできたらいいな」と志賀氏は話す。

  • リチウムバッテリーは1台につき25万円。それを4台設置している

    リチウムバッテリーは1台につき25万円。それを4台設置している

結果、2016年12月から2017年6月までの約半年、時にはプロの手も借りつつも、基本的には自分たちの手で、バスは「ON THE TRIP」を象徴する"メンバー"となった。

  • 製作期間約半年、制作費約140万円。「ON THE TRIP」が思い描いたバスが完成した

    製作期間約半年、制作費約140万円。「ON THE TRIP」が思い描いたバスが完成した

では実際、バスライフ&オフィスはどんなものだろうか。今度は、バスでの過ごし方を聞いてみた。