5月某日、人事担当者向けのセミナーが開催されました。
セミナーは、リクナビNEXTやDODA、@ typeなど大手転職サイトの編集長による「Battle Talk LIVE!」。刺激的なタイトルで、平日夜にも関わらず100名以上の人事担当者が参加。開始早々、3名の編集長と副編集長によるぶっちゃけトークが炸裂し、転職市場の現状から、今後の採用はこう変わる! など、言いたい放題!!
こんな機会はまたとない! と主催者の「グローバル人事塾」代表理事 樫村さんにコンタクト、取材してきました。
今の転職市場を象徴するキーワード
オープニングでは、グローバル人事塾代表理事の樫村周磨氏(以下、樫村さん)が挨拶。樫村さんによると、グローバル人事塾は30名の理事と有志の運営メンバーで発足し5年以上を経て、参加した人事担当者が所属する企業の数は5,000社以上に及ぶそうです。ちなみにこのイベントは毎月2~3回も実施しているとのこと。
今回の企画は、樫村さんがHR業界のニュースメディア「HRog」編集長 菊池健生氏(以下、菊池さん)と半年前に雑談交じりで話した内容が具体化し、他誌編集長も巻き込む形で実現したそう。
登壇した編集長は、前述した菊池さんのほか、@ type副編集長 前田直哉氏(以下、前田さん)、DODA編集長 大浦征也氏(以下、大浦さん)、リクナビNEXT編集長 藤井薫氏(以下、藤井さん)の4人。菊池さんが進行を行い、テーマに従い各自が持論を展開する流れで進みました。
簡単な自己紹介のあと、最初のテーマである「転職マーケットの今」について藤井さんが発言。
藤井さん:今の転職市場を象徴する3つのキーワードがあります。それは「シフト」、「メルト」、「ビルト」で、社会の産業構造が変化(シフト)し、業種の垣根がなくなり(メルト)、新たなマッチング市場が創られつつある(ビルト)ということです。
専門用語キター。しかし、聴衆は人事担当者。理解している様子(たぶん)。
藤井さん:今や、日本のGDPの7割近くはサービス業が占めています。つまり、昔と違い、日本の産業はモノづくりでなくサービスづくりの社会となっているのです。例えば、トヨタ自動車が発表したe―Palette(イー・パレット)のコンセプトが象徴的です。
「e―Palette(イー・パレット)コンセプト」は、トヨタ自動車が2018 International CESで発表したもので、トヨタが乗り物を売るのではなく、移動というサービスを売るという内容で、業界で大きな話題となりました。
藤井さん:産業構造がシフトすると、転職者が会社を探す際、これからの自動車会社はものづくりの製造業なのか? それともサービス業なのかわからなくなります。また、働く社員も自らの仕事を職種で説明する際に、例えば、モノ作りの設計者なのか、サービス創りのデザイナーなのか区分できなくなってきます。
なるほど! 分かりやすいーー。
転職サイトはもう終る?
この後、藤井さんがいきなりの爆弾発言!!
藤井さん:従来、転職サイトは職種で選択する仕組みとなっていましたが、業種の垣根が溶けて(メルト)いった時、旧来の職種名だけで仕事を探すことも意味を失います。こうなると、字義のごとく、職種だけにフォーカスした、転『職』サイトの存在意義がもう無くなるのではないかと。
まさかの自社サービス否定!? この記事は世に出して大丈夫なのだろうか……。
藤井さん:『職』種を転じるのでなく、職『場』を転じたり、『プロジェクト』を転じたりする。そうすると、古い概念である転『職』サイトは有効なのか?と思うのです。実際、ユーザーの検索行動をデータで見ると、職種検索でなく、休日の働き方、会社のビジョンなど異なる軸で動くユーザーが多くいらっしゃいます。
最後は「転職サイトの編集長という肩書きもいつまで有効なのか? と少し自己否定してみます(笑)」と締めくくり、藤井さんはマイクを前田さんに。
この後話すのは辛いわーー。前田さん、どんな話するんだろう……。
前田さん:転職サイト含めた既存の人材サービス業では、ある会社を紹介する際に、一つの観点だけで掘り下げていくのは難しくなっていくと思う。
前田さん、藤井さんに乗っかったー!!
前田さん:けれど、転職者には仕事を探す軸が必要であり、道筋を示す役割を果たす必要があるので、転職サイトはなくならないと思います。
なるほど、藤井さんの考えは理解しつつも、転職サイトの存在理由はあるという考えですね。ここで、大浦さんが発言。