また、産業、流通分野では、SAP S/4 HANAをコアに高付加価値化を図っていく考えを示し、保守期限が2025年に迫っていることを背景にした置き換え需要を取り込む考えを見せた。
「SAP S/4 HANAは好調であり、日立のOTの強みを生かして、経営から現場までのソリューションを提供していく。だが、SI事業全体では受注前の時点で、ロスコストが発生しており、プロジェクトマネジメントの強化や人材育成により、SI事業の収益性を高めたい」(日立製作所の阿部執行役常務)とした。
日立グループは、SAP関連ビジネスで国内トップクラスの構築実績を持つほか、日立グループ内においても32カ国400社612拠点にSAPを活用している実績があるという。
また、日立製作所 産業・流通・水分野 インダストリアルプロダクツビジネスユニット執行役副社長 産業機器統括本部長兼日立産機システム 取締役会長の青木優和氏は、「産業・流通分野では、プロダクトの強化、デジタルソリューションの拡大、SALLAIRの買収による北米を中心とした顧客基盤の獲得の3点に取り組んでいる。このなかでは、製造業を中心とした顧客との協創推進を進める。産業系の顧客に対して、ベストソリューションパートナーになることを目指す」と述べた。
日立製作所の塩塚副社長は、「Lumada事業は順調に拡大しており、この勢いを2018年度も継続したい」と語る一方で、「2018年度は、中期経営計画で掲げた目標数値を達成することに加えて、次なるステージに向けたステップアップの年と位置づけて、次期2021中期経営計画の準備に入りたい」と宣言。「そのために、Society 5.0の実現に向けたデジタルソリューションによって社会イノベーション事業をさらに加速させるとともに、事業をより強化するために、買収や資本提携なども視野に入れて、グローバルでのさらなる成長を目指す」と語った。
一方、日立製作所の東原敏昭執行役社長兼CEOは、「4月27日の決算発表以降、多くの投資家と話をしたが、『日立はだいぶ変わった』、『ようやく有言実行の会社になった』という声をいただく一方で、『改革をもっとスピードをあげなくてはいけない』といった指摘もあった。