人工知能の発展で、人間がテクノロジーに囲まれた環境の中で生活に必要な最低限の振る舞いをするようになる。そんな未来を思い描かせるGoogleやAmazonの取り組みと、AppleのiOS 12が見せる未来とは異なる景色と言える。技術的な優劣の議論ではなく、人が技術を育てることを実感できるアプローチを、Appleは見せているからだ。
テクノロジーに任せる部分は今後も増えていくかもしれないが、そのテクノロジーをユーザー本位で発展させることで、同じiPhoneも持つ人によって振る舞いを変えていく。またそうしたiPhoneを使っている人が自分を律する手段を提供していくことも意味する。
一方では、開発者が作ったアプリの使用を制限することにもなってしまうが、それを理解して受け入れてもらったり、使用時間を短くより多くの機能を活用できるアイディアを、Appleは求めているのかもしれない。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura