第2世代のBifrostでゲーム向けの性能が1.5倍になった「Mali-G76」
Cortex-A76の話はここまでにして、次はMali-G76。こちらは第2世代のBifrostをベースにしたハイエンド向け製品である。「第2世代」というのは2018年の3月に発表されたMali-G52から搭載された改良型のBifrostのことで、Execution Engineが8way SIMTになったほか、Int 8×4の演算を可能とし、Texture UnitをDual構成にしたのが主な違いである。この結果として、1.5倍ものGaming Performanceが獲得できたとする(Photo10)。
具体的には30%の性能向上と30%の性能/電力比改善、それと2.7倍のDNNの処理性能向上を実現したと説明している。面白いのはこれがMali-G72と同一のプロセスノード・動作周波数での結果であることだ。
構成としては最大20 Shaderまでサポートしており、数字だけ見れば最大32 ShaderのMali-G72から減っていることになるが、Shader 1個あたりのSIMTエンジンの数が倍なので、Mali-G72的に数えれば実際は40 Shader相当になる計算である。これにより、より高いGaming Performanceを獲得できる、としている。
8K60fpsコンテンツもターゲットとした「Mali-V76」
最後がVideo ProcessorのMali-V76である。こちらは8K60fpsコンテンツのデコードを念頭においた製品であり、ラフに言って従来比2倍のデコード性能が搭載されている(Photo13)。
「なぜ8Kがターゲットなのか」という疑問について、Nayampally氏曰く「このIPを搭載したモバイルデバイスやDigital TVは2019年に製造され、2020年にエンドユーザーの手元に届くことになる。その時にはオリンピックなど8Kコンテンツが既にあるだろう」と返ってきた。またxR機器だと4K120fpsのDual Displayといった仕様が要求されるようになってくるため、8K60fpsの性能が必要、という話であった。
具体的にはデコード性能が2倍、エリアサイズが40%削減となっているが、エリアサイズに関してはプロセスの微細化による影響が大きいのではないかと思われる(Photo14)。
先のPhoto05の中身をBreakdownしたのがこちら(Photo15)であるが、明らかに関係ないものも入っており、言ってみれば全部入り構成という感じだ。ここからOEM各社は自社に必要なものだけを抜き出して、2019年のPremium Mobile向けSoCを開発してゆくことになるのだろう。