アップルは6月4日(現地時間)、米カリフォルニア州サンノゼにて「WWDC 2018」(World Wide Developers Conference)を開催しました。基調講演では、iPhoneをはじめとする主要製品の新OSの新機能が発表されましたが、会場に集まった開発者の反応などを含め、改めてポイントを振り返ってみたいと思います。
ARやアニ文字など強化点多数、旧機種もしっかりサポートする「iOS 12」
iPhoneやiPad用の新OS「iOS 12」でまず大きな反響があったのが、アップデート対象の製品が現行のiOS 11と同じだったこと。iPhoneは2013年発売の「iPhone 5s」以降、iPadも2013年発売の「iPad Air」や「iPad mini 2」などが対象となります。5年前に発売した製品もアップデート対象から外さなかったのは注目できます。
処理性能の低い旧モデルでもストレスなく使えるようにするため、アプリの起動やキーボードの表示などを現行のiOS 11よりも素早くしたのも評価できます。「新OSに対応はしたけど使い物にならない」という事態を避けられるのはうれしいポイントといえます。
機能面で大きく評価できるのが、ARKitが2.0にアップデートすることです。新たに、複数のユーザーで同じARを体験できるようにしました。さらに、立体物を認識できるようになり、会場ではレゴブロックで作った家にCGで描かれた炎が重ねて表示されたり、家の内部がCGで描かれるようになりました。また、新たに「USDZ」と呼ばれるフォーマットに対応し、SafariやメールなどのアプリでもARのコンテンツが楽しめるようになります。
写真アプリの強化も注目できます。撮影した写真の解析機能が強化され、自動車や犬、花などがキーワードで分析できるようになったほか、撮影した場所も検出できるようになりました。さらに、友人と参加したイベントなどで撮影した写真をシェアした際、自分が持っていない写真を友人から簡単にシェアしてもらえる機能が加わります。
iPhoneの利用状況を確認する「Screen Time」という機能も追加されます。よく使うアプリの種類や利用時間が表示されるだけでなく、使えるアプリの種類や時間を制限する機能も備わりました。親のiPhoneを使って子どものiPhoneの利用に制限を加えることもできます。OSレベルで見守り機能が備わったことで、「破られないペアレンタルコントロール」として保護者は注目といえます。
さまざまなアバターに返信して絵文字を送信できるアニ文字は、自分の顔をモチーフにした絵文字が作成できる「Memoji」(ミーモジ)が新たに加わりました。FaceTimeのビデオチャットにも適用できます。また、FaceTimeは最大32人のグループチャットが可能になり、発言した人の顔が大きく表示されるなどの工夫が盛り込まれました。