ではなぜ、アテンザはモデルチェンジしなかったのか。理由のひとつとして、次期アテンザはこれまでの横置きエンジン前輪駆動ベースから、縦置きエンジン後輪駆動ベースに切り替わるという噂がある。
「ビジョンクーペ」が示した後輪駆動化の可能性
このサイトでは2017年の東京モーターショーにマツダが出展したコンセプトカー「ビジョン・クーペ」について紹介したことがある。前輪とキャビンが離れたロングノーズのプロポーションは、縦置きエンジン後輪駆動の採用を匂わせた。
また、マツダは新世代商品とともに「魂動(こどう)」と名付けたデザインコンセプトを導入しているが、このビジョン・クーペと、3年前の東京モーターショーで展示したコンセプトカー「RXビジョン」は、次世代の魂動デザインを提示していた。
この流れで今回のアテンザを見ると、モデルチェンジではないのでボディサイドは変えていないが、次世代につながる造形を取り入れるべく、エクステリアでは前後の造形に手を入れている。
「アテンザ」改良に見る次世代のビジョン
もっとも分かりやすいのはフロントマスクで、「シグネチャーウィング」と呼ばれるグリルからヘッドランプにかけてのライン両端が、ヘットランプの上に伸びるのではなく、下に沿って流れるようになった。
リアもセダンについては同様に、クロームメッキのアクセントがリアコンビランプの上に跳ね上がるのではなく、中を貫くようになった。同時にリアバンパー下部を黒からボディ色にすることで跳ね上がり感を抑えた。
これらの変更により、横から見た時の水平基調のラインが強調された。この新しい横顔は、車体の前から後ろに向けて水平に伸びるラインが印象的だったビジョン・クーペを連想させる。
現行アテンザを一貫して担当してきたチーフデザイナーの玉谷聡氏は、「次世代の魂動デザインは、骨格から変えるのが筋」と語った上で、背骨の軸を強調するなど、今できる骨格的な進化は取り入れたと説明していた。
なお、ワゴンのリアはバンパーのお色直しに留めている。跳ね上がったアクセントにワゴンの大きなキャビンを支える役割を持たせているためだ。