▼幼少期の伊藤家の出来事

――絵本つながりで、おふたりの絵本エピソードについてもお聞きしたいです。

伊藤 小さいときにも読んでいただんですけど、去年から絵本にハマッたんです。クリスマスの時期に本屋さんに行ったら、サンタさんの絵本がすごいかわいくて、それがきっかけでいろいろな絵本を集めました。子どものときから特に好きなのが『バムとケロ』シリーズで、いまでも読み返します。犬のバムとカエルのケロの日常を描いた作品で、絵がとても大好き! あと、キングコング西野亮廣さんの『えんとつ町のプペル』も面白かったです。

豊田 私は、母が海外から取り寄せるくらいの絵本好きで、英字だったり、さわると色が変わったり、ポップアップで飛び出したり、実家にたくさんの絵本がありました。全部英語なので読めないんですけど、雰囲気で(笑)。好きだったのは『ぐりとぐら』シリーズですね。あとは最近、カフェに絵本が置いてある、絵本図書館みたいなところに行って、子ども向けに日本の四季を紹介するという本に出会いました。

伊藤 その場所教えて欲しい!

――ふたりとも絵本だけでずっと話せそうですね。『ありすorありす』が双子の姉妹、兄妹の絆を描いている作品ということで、おふたりの兄妹エピソードをお聞きしたいと思っています。豊田さんはお兄ちゃん、伊藤さんは弟さんがふたりですよね。

伊藤 はい。私はいまも一緒に住んでいるんですけど、下の弟はまだ中学生で、家のお手伝いもするし、いい子ですね。手先が器用で、クッキーを作ることもあります。

豊田 そう! 私の誕生日にクッキーを焼いてくれて、ほんとにいい子!

伊藤 上の弟はいま18歳くらいで、順調に思春期と反抗期を迎えています(笑)。お姉ちゃん的には弟が大好きなんですけど、「うるさい! うざい!」って。でも、前までは本気で言っている感じだったんですけど、最近大人になったのか、冗談交じりに言うようになりましたね。彼は洋服が好きなので、よくブランドの話とかをしていますね。

――幼少期はどういった関係でした?

伊藤 上の弟とはめちゃくちゃ喧嘩をしましたね。小さいころは私の方が身長もあって力も強いので、言い合い以上の喧嘩です(笑)。一番覚えているのは、私が小学生で、彼が幼稚園の年長さんくらいのとき。彼の誕生日ケーキのろうそくを私が吹き消しちゃったんですよ。

豊田 それはミスで?

伊藤 完全にわざと(笑)。当時は悪ふざけで、私はしてやったりだったんですけど、「なんでそんなことすんだよー!」ってすごい泣いちゃって。

豊田 めちゃくちゃかわいいね。でも、それは泣いちゃうわ。楽しみだもん。

伊藤 私は私でお父さんお母さんに怒られて泣いちゃって、ふたりで大号泣して……。それがいまでもビデオに残っています(笑)。

▼いまの方が仲の良いお兄ちゃん

――いまとなっては微笑ましいエピソードですね。豊田さんはいかがですか?

豊田 私は一緒に暮らしていた時代より、いまの方が仲がいいんですよ。たまに連絡を取り合うくらいなんですけど、最近はお兄ちゃんが彼女を紹介してくれて、みんなで一緒にご飯を食べに行ったんですよ。「いい感じだなー」って思ってたら、一カ月後くらいに別れていて(笑)。そういう感じで、兄妹というよりは、フランクな友だちみたいな関係性ですね。

――いまの方が仲が良いとのことですが、昔はそうでもなかった?

豊田 小学生くらいまでは仲が良かったんですけどね。歳が3つ離れているので、私が中1のときに高1なんですよ。中高生のときの男子って反抗期じゃないですか。かわいくないレベルの喧嘩をしていましたね。私がお兄ちゃんの顔も見たくなくて家出をすることもありました。裸足のまま家を飛び出して(笑)。

――それはよっぽどですね。

豊田 お互い小学生のときは一緒にゲームで遊んだり、漫画を読んだりしていたのに。

伊藤 あー、わかる。

豊田 そうやって仲良かったのに、急に色気付いて遊んでくれなくなったんですよ。私はまだテレビゲームをやりたいのに付き合ってくれない。お兄ちゃんの友だちともよく遊んでいたのに、それもなくなっちゃって。お兄ちゃんは自分の友だちを妹と遊ばせるのがいやなんですよね。そのすれ違いから仲が悪くなっていきました(笑)。でも、私が高校を卒業して上京して仕事をはじめてから仲良くなっていきましたね。兄妹ってそういうものなのかなって。

▼仲良くなった瞬間は?

――おふたりが最初に出会ったとき、お互いの印象は覚えていますか?

伊藤 覚えています! 事務所のオーディション(第1回スタイルキューブ声優オーディション)を経て、新研究生の顔合わせの日があって、その事務所に行くまでの道で出会いました。

豊田 ほかにも何人かいたけど、出会ったのはみくだけだったね。

伊藤 うん。もえさんは白いワンピースで麦わら帽子を被ってて、"いかにも"な女の子だったんですよ(笑)。そんな出来上がった人に、「事務所に行くの? いっしょにいこー」っていきなり話しかけられて。てっきり先輩のタレントだと思ったんです。「あ、芸能人に話しかけられた」と思ってついていったら同じ研究生という。

――豊田さんは「同じオーディションにいた子だ」みたいな感じで話しかけたんですか?

豊田 それが全然違くて、事務所まで歩いていたら、目の前に女の子が歩いているじゃないですか。「方向が一緒っぽいな」って声をかけたんですよ。

――コミュ力がすごい。

豊田 完全に勘でしたね。違ったらまあいっかくらいの。でも、多分一緒の子だと思いました。仲良くなりたいって気持ちもあったので。

伊藤 「仲良くなりたい」がはやいよ! まだ出会ってもいないのに。そこからずっと、年齢とか名前とかを聞かれて。

豊田 でも、目も見てくれなかった。

伊藤 私はいまよりも尋常じゃない人見知りだったので、目は見ちゃいけないと思ってたの(笑)。

――ふたりが仲良くなった瞬間っていつごろですか?

伊藤 距離が縮まったのは、ふたりでStylipSの加入が決まってからかな?

――加入が決まってふたりで話し合いをすることも。

伊藤 私たちが加入することが発表された日にもえさんの家に泊まりにいきました。一緒に居てくれる人が欲しかったんです。プレッシャーもあったので。

豊田 よそよそしかったのは最初の半年くらいかな? 私もそれまでみくちゃんって呼んでたもんね。みくも敬語だったし。どのタイミングかは覚えていないんですけど、みくの話し方が変わった瞬間があったんですよ。敬語をやめてくれて、打ち解けてくれた証拠かなって。

伊藤 敬語をやめる瞬間はすっごい意識したんですよ。研修生何人かで話していて、私よりも年下の子がもえさんに敬語を使っていないのに気付いたんです。それを見て、もえさんが言っていた「敬語じゃなくていいよ」はリップサービスじゃなかったんだなって。最初は緊張しましたね。「うん、そうだね」くらいの相槌からはじめていきました。

――ふたりにはたくさんの思い出があると思いますけど、その中でお互い尊敬できる部分はどういったところですか?

伊藤 たくさんありますけど、一番はプロデュース力かな。もえさんはPyxisにしてもソロにしても自己プロデュース力に長けているなと思います。衣装もそうだし、MCで話すこともそうだし、一つひとつの行動がファンの心を掴むような言動やふるまいなんです。私がひねって考えても出てこないようなものをたくさん持っている。ビジョンがしっかりしていて尊敬しています。

豊田 「やれることはやろう精神」で取り組んでいるからね。みくとは性格や考え方が真逆なんだけど、一緒に居て安心するし、喧嘩もしないのが不思議だなって。これはお互い協調性ある方なんだなと気付きました。人は自分にないものに惹かれると言いますけど、私がみくに憧れている部分は、素直さなんです。私も思ったことは素直に言う方なんですけど、強がってしまう部分も多いので……。みくは素直に言えるので、ほんとうに羨ましいですね。

伊藤 素直かなあ。顔には出るかも。

豊田 喜怒哀楽がはっきりしてるから、わかりやすい。一緒に居る人を気持ちよくさせてくれるタイプ。いい奥さんになるよ。

伊藤 えへへ。