国内で早くから実現していたおサイフケータイだが、実際に使っている人は意外と少ないとの指摘もある。モバイルSuicaの場合、Apple Pay効果も相まって2017年11月には会員数が500万人を突破したが、Google Payによるプロモーションが加わればさらに利用者の増加が期待できる。
また、2018年2月には「Android Pay」から「Google Pay」へ改名したように、スマホ以外の決済も視野に入れている。「オンライン決済」機能では、対応のウェブサイトやアプリでの買い物に利用できる。将来的なキャッシュレス社会を視野に入れた枠組みとしても有望だ。
その先には、次々と登場する決済手段を統合するというビジョンもある。中国のQRコード決済が脚光を浴びているように、決済サービスは国ごとに大きく異なる。日本でも、コンビニやファストフード店に表示されるロゴは増加の一途を辿っている。
これらの決済サービスごとに、個別の専用アプリでチャージや残高管理をしていくのはあまりに煩雑だ。グーグルが見据えているのは、グーグルのアカウントのもとにこれらを紐付けることで、一元的に使えるようにする世界といえる。
ただし、アップルに遅れを取っている感は否めない。今夏には「QUICPay」に対応するが、「iD」への対応予定はなく、Suicaのプラスチックカードを移行できるのもApple Payだけだ。海外旅行時に便利なVisaやMastercardによる非接触決済についても、グーグルは対応予定を示していない。
その遅れを取り戻し、Google Payで使える決済サービスを増やしていくには、さまざまなステークホルダーとの交渉や調整は避けられない。SuicaとWAONへの対応は、グーグルがこうした泥臭い仕事を引き受け、日本市場に本格的にコミットしていく意思表示といえそうだ。