ラボ内の空港・機内で立案・制作・検証まで一気に
では、ラボの中はどうなっているのか。まず、ラボの出入り口の側には、空港のなじみの風景である「チェックインカウンター」が広がっている。新たなチェックイン体験を実現するための現場となり、例えば、自動チェックイン機のデザイン思考や、JALではまだ展開されていない自動手荷物預け機の構想なども、このイメージ空間の中で行う。
続く「フリースペース」では白い壁をスクリーンにすることもでき、プレゼンテーションやミーティング等と様々なシーンで活用できる。その横には防音対策もされた「ハドルルーム」が、ロールスクリーンのホワイトボードが設けられた「ステージ」が連なる。ステージの後ろには「ダイニング&キッチン」があり、機内食をリヒート(再加熱)するためのオーブンも備えられており、シェフをラボに呼んでの機内食やラウンジミールの開発も可能だ。
このラボで一番の肝とも言えるのが、3Dプリンターを備えた「クラフトルーム」だろう。従来であれば、外部企業にプロトタイプの発注を経てから構想を膨らませていたが、自社内で気軽にプロトタイプを作れるクラフトルームがあれば、ちょっとした気付きもすぐに実践できるようになる。
ラボ内にはさらに、「搭乗ゲート&キャビンモックアップ」というイメージ空間もある。この搭乗ゲートでは、デザインや音も含めた搭乗ゲートそのものの機能性向上を目指したイノベーションのほか、どのような順番で機内に案内するのが一番スムーズなのかの検証も行う。続くキャビンモックアップは、国際線ファーストクラスのシートにも対応できる空間を確保しており、シートのデザインやサービス、客室乗務員の機内サービスの検証等が可能となっている。
こうした検証は従来、整備中の機材の一部スペースや空港格納庫内のキャビンモックアップを用いて行っていたが、時間や場所に制約があるため、気軽に検証ができるとは言えない状況だった。しかしこのラボを使えば、例えば、JALがソニーモバイルコミュニケーションズと協業で実証実験を行っているヘッドセット型スマートデバイスト「Xperia Ear Duo」に関しても、一般客での実証実験の前に、社員同士で気軽に検証ができるということになる。ラボ内にはその他、多目的に使える「ラウンジ」と「プロジェクトルーム」が設けられている。