視聴履歴からドライブルートをレコメンド
旅行中、行っておきたい観光地や地元のグルメを教えて欲しくなった……という経験はないでしょうか。そんなとき、テレビを見た人の好みをもとに、ドライブルートをレコメンドするデンソーのサービスが役に立ちそうです。ハイコネからテレビの視聴データを参照し、ナビガイドアプリから行動データを参照することで、おすすめスポットの提示につなげています。
クルマに乗り込んだ利用者。「グルメ」で検索すると、利用者がこれまでに見たテレビ番組の視聴履歴をもとに、利用者に最適なグルメスポットが表示されます。そのうちのひとつをタップすると、過去に紹介されたテレビ番組の動画がひも付いてきます。どんな風に紹介されたか、ここで視聴することも可能。
テレビで紹介されると、つい行きたくなるもの。そんな心理に応えます。グルメのほかにも、SNS映えのする写真が撮れそうなところ、歴史が勉強できる名所旧跡、など幅広いジャンルで検索できます。
これで終わりではありません。帰宅後に行動データをハイコネに同期させると、訪れた場所にまつわる、過去に放送されたテレビ番組の動画一覧が表示されます。それをタッチすれば、テレビで該当するアーカイブ映像を視聴できるわけです。
手作りCMを流す
その家庭だけに放送されるTV CMを制作することも可能です。TBSでは、母親に感謝の気持ちを伝える15秒の手作りCMを、テレビ番組の合間に流すというシチュエーションでデモを行っていました。
利用方法もシンプル。スマホアプリを使って、好きな写真とメッセージを選ぶだけです。利用者には、CMが放映される番組の詳細な情報が通知されます。この仕組みについて、担当者は「たとえば30秒のCM枠のうち、15秒間は視聴者のオリジナル映像に差し替わることを、スポンサー了承をとった上で実現します」と解説してくれました。
従来の技術でこれを実現しようとすれば、利用者の数だけ写真とメッセージをインターネット上のサーバーにアップロードされるため、サーバーがパンクしてしまうでしょう。しかしハイコネを利用すれば、視聴者のスマホとテレビの間で処理が完結するため、サーバーには負荷がかからないという理屈です。
これらの利用シーンを、動画にまとめました。ここで紹介しましょう。
今後の見通しは?
改めて、これまでの概要と今後の見通しをまとめましょう。ハイコネ・ライブラリはNHK技研が提案し、パナソニックをはじめとしたメーカーが実現可能な形に落とし込むことでプロトタイプが作成されました。遅くとも今年(2018年)中には標準化が完了し、公開されるとのこと。今後、各企業による取り組みが本格化していくことが期待されます。
利用には、テレビがハイブリッドキャストに対応しており、かつインターネットに接続していることが条件となります。では利用者は、新しくテレビを買い直す必要があるのでしょうか? これについて、技研の関係者は「技術的には、既存のテレビでもファームウェアのアップデートで対応できるケースが多いと思います」と話していました。
今回の取り組みには、ネット動画を見ている若年層をテレビの前に引き戻したい、といった狙いがあるのでしょうか? ふと、そんな疑問をぶつけてみましたが、先の担当者からは「テレビも動画視聴サービスの輪の中に入れてもらうイメージですね」との回答が返ってきました。勝負する、というよりはともに共栄していく、そんなスタンスだと感じました。