ソニーのハードウェア、つまりエレクトロニクスの「商品」については、吉田氏が「当社直近の最高益を牽引した原動力。今後の3年間にも、もっとも安定したキャッシュフローを生むだろう」と特に期待を寄せている。ここでも前任の平井氏が掲げてきた基本戦略である「いたずらに規模を追わず、プレミアム路線をキープする」という方針が示された。

テレビ事業については「パネルメーカーやディーラーとの強固な信頼関係がオペレーションの要」としながら、これからの事業の改善・拡大にも結びつく重要事項であるとした。直近でソニーとして20年ぶりの前年比増収を記録したオーディオ事業については、プレミアム市場への傾倒と中国市場の開拓を図る。

  • ソニーの吉田新社長、中期経営計画を発表

    オーディオはプレミアム戦略を継続。中国市場への進出もテーマに掲げる

デジタルカメラはフラグシップのα9が発売後も好調のようだ。報道やスポーツの現場で活躍するプロのカメラマンにも愛用者が増えていることから、今後もコミュニケーションの徹底強化を方針に組み込む。同様に、放送用8Kカメラもソニーの基本戦略である「クリエイターに近づく」ための戦略商品であるとした。

  • ソニーの吉田新社長、中期経営計画を発表

    8K高画質カメラが「クリエイターに近づく」重要な戦略商品になっているという

スマートフォン(モバイル)は前年度減損、今年度も赤字が見込まれるセグメントだが、「現状を重く受け止めている。ただ、5G時代に向けて将来性が有望な領域なので、引き続き事業の好転に向けて注力したい」と、事業を継続することの意義を説明した。また、これまでのハードウェア開発から培ってきたノウハウをベースに、4K/3D内視鏡など医療分野の拡大、AI・ロボティクス分野の成長にも力を傾けていくという。

  • ソニーの吉田新社長、中期経営計画を発表

    医療用4K/3DカメラやaiboのようなAI・ロボティクスの領域も注力分野としていく