▼思い入れのある楽曲と衣装は?
――『プロジェクト東京ドールズ』のあらすじやお二人のゲーム事情についてお話いただきありがとうございました。続いて、キャラクターのことについておうかがいできればと思います。お二人は本作でどのような役を演じられていますか?
遠藤 私が演じているヤマダは、アイドルとして活動するときはダラダラとしていて頑張らない“ダラドル”です。そういう頑張らない姿を見ていたら「お前ら元気出るだろう?」と斜に構えているようなキャラクターですね(笑)。反面、バトルになると豹変し、積極的に戦おうとする戦闘狂でもあるんですよ。
オーディションの資料でヤマダを見たときは、この子が一番面白そうだなと思いました。というのも、私もヤマダほどではありませんが、休みの日はずっと家でゲームやパソコンをすることが多い、ぐーたらなので(笑)。だから演じられて嬉しいのですが、実際にシナリオを収録していると「このキャラクター、本当に大丈夫なのかな、アイドルとしてギリギリアウトなことばっかり言っているけど……」と不安な気持ちになってしまって(笑)。
――な、なるほど。
遠藤 でも、そんなヤマダを応援してくださる方もたくさんいらっしゃって! 「ヤマダ推しです」と感想をいただくこともあるので、嬉しいです。また、彼女の取り戻していく記憶の物語は結構ヘビーなので、その辺りもぜひプレイして確認していただきたいですね。こんなちょっと変で魅力的なヤマダが苦手としているのが……。
明坂 私が演じている斑目さんです(笑)。斑目さんはアイドルではなくて、表向きは事務所の所長という肩書をもっている女性です。ただ裏では命が途切れそうになった少女の元に現れて、ドールとして戦う覚悟がありそうな者たちに"鍵"を渡す役割を担っている人物なんですよ。ドールたちへの愛情があることを節々で感じることもあれば、冷たい決断をすることもある……。反面、対ヤマダとなると人間味のある姿をみせたりもするし、一人になったときにぽつっと出る言葉がすごく切なかったりもするという、未だに掴めない謎深きキャラクターです。
――そんなキャラクターを演じるうえで意識していることは?
明坂 一度死を体験しているにも関わらず、兵器として戦い続ける運命にあるドールたちを指揮するということで、どこまでも冷徹である部分が必要なのかなと思い、なるべく感情が動かない、ブレないよう抑えめに演じています。あと声質的なところで言えば、これまで演じてきたなかで最低音のキャラクターになるんじゃないかな。
遠藤 あけしゃん(明坂)が斑目さんとして言う言葉には説得力を感じる。
明坂 本当に? ありがとう!
――もうすぐ配信されて1年になりますが、最初に出会ったときと今ではキャラクターへの印象は変わっていますか?
遠藤 ヤマダと出会った頃はやっぱり変わった子だなという印象がとにかく強かったのですが、収録が進むと「DOLLS」内でチームを組んでいるアヤとユキには優しかったり、面倒見がよかったりする面もあるなと感じるようになったんですよ。本人はそんな素振りを見せているつもりはないと思いますが、心のどこかには二人の存在があるのだと思います。
明坂 斑目さんは本当に冷酷で全く感情を表に出さなかったのですが、ドールたちが記憶と感情を取り戻していくなかで彼女も感情をみせるようになります。ドールと対等に話す場面も出てくるようになりました。本当に斑目さんはまだ掴めないキャラクターではあるのですが、「やっぱり彼女も人間なんだな」と感じることが増えたため、そこも意識して演じています。ただ、斑目さんがなぜ今の役割を担っているのかということはまだ明かされていないので、今後どうなっていくのか、私も気になっています。
――謎が明らかになるであろう今後のストーリー展開に期待しています! ここまでキャラクターのことを聞いてきましたが、そのキャラクターたちはアイドルとしても活動しています。お二人はアイドルがどのような存在だと思っていますか?
遠藤 仕事を始めてからアイドルちゃんって本当にすごいなと感じることが多いです。私も作品によって歌ったり踊ったりすることはありますが、声優なのでそれがメインではありません。でもアイドルちゃんは毎日レッスンをして定期公演をしている子たちもいて、更にファンとの交流イベントやライブもするという子も多いじゃないですか。そういうのって体力があって、ストイックで、しかもアイドルという職業に愛がないとできないと思うんですよ。だから、尊敬します。私はダンスがすごく苦手なのできっとアイドルはできない。そんなに四六時中レッスンして踊っていられないです……。
明坂 私はこの業界で最初に受けたのがイベントアイドルオーディションだったんです。で、運動神経がないのに受かったもんだから、その後にやることになったダンスが全然踊れなくて。一人で事務所に行って泣きながら踊っていました。今はあの時よりもアイドルの仕事の幅が広がっているはずなのに、握手会などではちゃんと来てくださる方々の名前を憶えている。その努力がすごいです。
――「DOLLS」もそういう努力を重ねてアイドルもやっているんですよね。
遠藤 ヤマダ、よくやってるなって思います!
明坂 チームB、特にレイナがストイックにダンスの練習をしているという場面がありますが、身体が心配で心配で……。「もう帰って~!」と言いたくなっちゃう。
遠藤 本当にみんな意識が高い!
――アイドルという面で言えば、遠藤さんは本作で歌も歌唱されていますよね。
遠藤 もう、大変だったんです、ヤマダのレコーディングは!! ヤマダは自分が演じてきた中で一番低くてハスキーな声を出しているんですよ。だから、高いキーのメロディの曲になるとヤマダとして歌うのが難しいんです。ヤマダの声で女性の曲を歌うとどうしてもオクターブ下のキーになっちゃうので、レコーディング時にもスタッフさんとじっくり相談しました。相談していた時には「ヤマダは本気を出さないキャラクターなので、むしろライブでは口パクでやって欲しいくらいだよね」という話まで出たんですよ。ただ、収録では口パクをする訳にもいかず(笑)。まだコツをつかめていなかったときに収録した表題曲「Doll’s Destiny」は特に大変でしたね……。
明坂 確かに、あの歌の「世界は変わる」という歌詞のところは難しそうだった!
遠藤 やる気ない感じで歌うのが大変でしたね。ダラーっとは歌うのですが、リズムが外れすぎちゃうとユニット曲として崩壊しちゃうので、抑揚をつけずに面倒くさそうに歌うという方向で歌いました。色々とキャラクターソングを歌ってきましたが、たぶん一番苦戦したんじゃないかな。だからこそ、どの曲の収録も記憶に残っています。
――本作の楽曲では「Candy Star」というチームCの3人で歌う曲もありました。
遠藤 あんなに可愛い曲なのにヤマダはとにかくやる気ないですからね。ヤマダのラインだけ聞いたら本当にやる気がないので、アヤ・ユキと一緒に歌う曲でよかったです(笑)。