――『アマゾンズ』では悠と仁を中心に、駆除班メンバーや野座間製薬の関係者など、数多くのキャラクターがそれぞれの思惑を秘めてうごめきあいます。特にSeason2では、Season1の面々に千翼やイユ、4C黒崎隊などが加わって、さらに複雑な人間模様が展開することになりました。個性の濃厚なキャラクターが入り組んでいて、演出されるほうとしては大変ではなかったですか?

いえ、面白いんです。大勢のキャラクターが複雑に入り組んでいたほうが面白い。こういっては何ですけれど、つまらないキャラクター設定や人物表現を、そのまま撮ることほどつまらない作業はないですよ。監督に限らず、スタッフはみなそうだと思いますけれど、映画の撮影では苦労することをいとわないんです。苦労するほど、やりがいを感じます。反対に、楽な仕事ほど辛いものはないです。だんぜん、苦労したもののほうが楽しい。苦労したほうが、作品が面白くなるってことが絶対的にわかっているからです。今後もどんどん、苦労したいと思っています。

――『アマゾンズ』の主人公は悠と仁ですが、脇を固める存在である駆除班メンバーそれぞれの個性も作品の大きな魅力となっていますね。志藤、三崎、高井、福田、マモルなど、愛すべき駆除班メンバーの演出についてのお話を聞かせてください。

脚本の小林(靖子)さんには悪いんだけど、最初の台本を読んだとき、駆除班の描写がそれほど濃くなかったので、僕としてはもっと彼らを膨らませてもいいかな、と思ったんです。そこで、自分で駆除班ひとりひとりのキャラクター設定を作り、各人の出身地や血液型など、詳細な情報を与えてみたんです。ホン(脚本)の読み合わせのとき、駆除班キャストそれぞれに「お前はAB型で、性格が悪い」とか、事細かにキャラクター設定を説明しました。そういうのはドラマ上、ぜんぜん関係ないんですけれど、キャラクターにしっかりした肉付けをすれば、当然、ありきたりな人物にはなりません。ヒトくせもフタくせもある人間像が仕上がってくるので、演じる役者としても、燃えてくるでしょう。脇役が面白ければドラマは面白くなります。主役だけがいくらよくても、脇がちゃんとしていないとダメなんです。だから、脇のキャラクターを先に固めておく、というのはドラマ作りの基本だといえます。

――映画『最後ノ審判』では、さすが『アマゾンズ』の完結編と銘打っているだけあって、藤田さんも谷口さんも持てる力を振り絞って悠と仁を演じられているような迫力を感じました。石田監督としては、主役のお2人にどんな演出を試みられましたか。

そりゃあこれで最後だから、2人としてはかなり盛り上がっていたでしょうね。藤田くん、谷口くんには設定面のことだけは伝えていましたが、それ以上の細かい演技については、ほとんど僕のほうから口を出していません。彼らなりに盛り上がって、いろいろな演技のアイデアを考えているので、そちらを優先するのが正解だと思ったんです。仁のことは谷口が、悠のことは富がいちばんよく知っているはずなので、僕がああだこうだ言う必要がないんです。だから、ほぼ彼らに丸投げしていると言っていいですね(笑)。